俺たちは一方的にデスピサロに連れられ、デスパレスへと向かった。

 

 

デスパレスには倒したはずのエブルプリーストが何故か魔族の王になっており、魔物たちの指揮をとっていた。

 

デスピサロしか崇めないと言った魔物もいれば、今までデスピサロを憎んでいたのでエブルプリーストをこれからは崇めると言う魔物など、意見はそれぞれだった。

 

 

 

 

 

 

34.最後の戦い



「・・・ふふ、よくここまでのこのこと来たな、デスピサロよ」

「・・・・・・・・・・・・」

「まさか人間風情に助けられて正気を戻すとはな・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「しかし人間も人間だ。デスピサロに人類をも滅ぼされようとしていたのに、よく助けたな。エルフも私の手下に殺させたはずがまさか世界樹の花などで生き返るとは・・・・・・」

エブルプリーストは関心したように玉座で足を組み、首の骨を鳴らす。

 

「・・・・・・・しかし私は進化の秘法を手に入れた。人間の姿などに戻ってしまったデスピサロなど、痛くも痒くも「お前かロザリーをやったのは」ぐわあああああッ!?

デスピサロは既に行動に出ており、エブルプリーストの首を絞めた。泡を吹いて倒れるエブルプリースト。

「・・・ふん。お前などが私に勝てると思うな」

最後のとどめに、デスピサロは剣をエブルプリーストの身体に突き刺して戦い終了。

――――約3分の戦いだった。

 

 

 

 

「・・・さて、これで世界は平和になったも同然だろう、ソロ」

「いやそうだけど・・・・・・・・・」

「私なら大丈夫だ。もう世界を滅ぼそうなどしない。・・・ロザリーヒルでロザリーと暮らそうじゃないか」

「ピサロ様・・・・・・」

見つめ合い二人の世界に入っていくデスピサロとロザリーさん。

「・・・勝手にやってろ・・・・・・」

「ソロさん、マスタードラゴンに状況を伝えたほうが良いのではないですか?」

「え? ・・・あぁ、そうか。そうだな、天空城に行くか」

 

 

 

 

 

 

 

天空城に行くと、いつの間にかデスピサロとロザリーさんはいなくなっていた。あくまで魔族だったデスピサロが立ち入ってはいけない場所だとわかったのだろうか。

「・・・きっとロザリーヒルに行けば、また会えるわよね」

アリーナは少しだけ悲しそうに言って笑った。

 

 

 

 

 

 

「天空と人間の血を引きし勇者よ。そなたらの働きで進化の秘法は血の底深くに沈んでいった。もはや人々が怯える事はなく世界に平和が訪れるのだ! 8人の導かれし者たちよ!心から礼を言うぞ!」

とても嬉しそうなマスタードラゴンを前に、俺達もやっと世界を平和にできた事が実感できて嬉しくなる。みんなの顔を見るとやはり嬉しそうで、笑みがこぼれていた。

 

 

「ライアン!お前は本当によくやってくれたな」

ライアンさんは少し照れたように髭を触った。

「アリーナよ。そなたも女でありながらよく頑張ってくれた。ブライにクリフトもアリーナを助けて・・・その働き、誠に見事なり」

アリーナはぴょんぴょんと跳ね、ブライさんとクリフトも嬉しそうに頭を掻いた。

「マーニャにミネアよ。今のそなた達を見れば父上もきっと浮かばれるであろう!」

「・・・ふふ、そうね」

マーニャとミネアは空を見上げ、微笑んだ。

「トルネコよ。これからも世の為人の為、商売に精を出すのだぞ」

「・・・! はい・・・!」

トルネコさんは今までに見たこともないような笑顔で、頷いた。

「そして勇者ソロよ!お前は見事やり遂げたのだ!もはや地上に戻る事はあるまい・・・・・・」

「えっ?」

「これからは私と共にこの天空城に住むがよかろう!」

あまりに唐突なマスタードラゴンの話に、俺は目を真ん丸くした。

「ん? どうしたその顔は・・・? その者たちと一緒に地上に戻ると申すか?」

「あ・・・あの・・・」

断ったら、悪いだろうか。俺は短時間の間にかなり色々考えた。

 

 

俺がいなければ仲間たちはもう二度と天空城に来ることは出来ない。…もしかしたら、もう会えないのかもしれない。みんなに・・・アリーナに。

「ちょっとちょっとマスタードラゴンってば! なーに勝手な事いってくれちゃってんのよ!」

俺が頭の中でめちゃくちゃ考えてるときに、俺の後ろでアリーナがそう言いながら出てきた。

「ちょ、姫様・・・」

「ソロは私たちと一緒に地上に帰るの!ソロは天空人じゃなくて、立派な地球人だわ!」

アリーナは叫んで、俺を見てにかりと笑った。

 

 

・・・ほんとにこいつは、めちゃくちゃな奴だな・・・。

 

・・・・・・でも。

 

 

 

 

 

「俺も・・・アリーナの言うとおり、地上に戻りたいです!」

俺が言うと、マスタードラゴンは驚いた顔で俺を見たが、やがて安心したように笑った。

 

「わかった!もう止めはせぬ! 戦いの最中築き上げられたそなたらの友情は、最早何人にも壊せまい! ・・・気をつけてゆくのだぞ、ソロよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よかったの、ソロ?アリーナの言うとおりになんかして」

気球で地上に戻る途中、マーニャが心配そうな顔で俺を見た。マーニャは気球の風に揺られながら、何かをまっすぐ見るように笑顔のアリーナをちらりと見た。

「・・・あぁ。みんなと一緒に戻りたいと思ってたしな」

「・・・そっか。ならいいんだけどね」

ふぅ、とマーニャは少し呆れたように笑った。

 

 

 

 

「・・・さーてと。みんなを今から送るよ」

俺たちはまず一番に、ライアンさんのいたバトランド城へ向かった。

 

 

 

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あとがき
・・・もう終わりが見えてきてしまいましたね(笑)
次回は皆さんをおうちへ送り届けます!

2010.11.18 UP