順調に南西のほこらにいる敵を倒し結界を破り、同様に南東と北西のほこらの結界も破った。あとひとつだ。

「今日はとりあえず、ほこらの結界を破って帰ろうか」

「うん!あたしもうくたくたよ〜!」

マーニャは嬉しそうに跳び跳ねている。

今までのほこらは安易な作りで、すぐに敵の元へと辿り着いたが、今回はそうもいかない様子だった。外観からして少し高い搭だったが、中も少し複雑だ。敵は強いのかもしれない・・・。

 

 

27.見つけた居場所


「あ・・・一番上についたみたいよ!」

アリーナが小声で呟く。確かにそこは、玉座のような物に座った魔物がいた。

 

「みんな行くぞ!」

俺はそう言って、魔物の前へと飛び出した。

「・・・ほほう、ついに来たか勇者ソロよ。しかし既にもう遅かったなぁ…。もうすぐデスピサロが魔族の王として目覚めるだろう。デスピサロの心にはもはや、人間を憎む心しか残ってないのだからな!」

わーっはっは!と大きな笑い声をあげた魔物は、俺たちへと向き直った。

「私の名はエビルプリースト。ふふ、冥土の土産に教えてやろう。ロザリーをさらわせ殺させたのは、この私だ!」

「!? どういうことだ・・・!?」

「何だ、知らないのか。ロザリーはルビーの涙を流すから人間に狙われている。だからデスピサロは人間を憎むのだ。ロザリーさえ殺してしまえばデスピサロの怒りは頂点に達し心を蝕んでいくだろうと思ってな!」

不気味な笑いを浮かべたエビルプリーストは、玉座から立ち上がった。

 

「ひどい・・・!ロザリーさんに何てことを・・・!」

アリーナは歯を食いしばってエビルプリーストを睨み付けた。俺たちは・・・生きている間に、ロザリーさんの野望を打ち砕く事が出来なかったようだ・・・。

「ひどい?笑わせるな。私が王になるためだ。デスピサロが王など…あり得ないのだ!!!」

エビルプリーストはかなり強かった。が、なんとか無事勝利に終わった。これで結界を全て破れたようだ。

 

「じゃあ今日はここで引き上げましょうぞ!」

「疲れたわ〜」

闇の世界からルーラして、サランに辿り着いた。辺りはもう真っ暗だ。

 

 

「じゃ、おやすみ!」

各々部屋に入って眠る。俺はいつものように一人の部屋だ。

 

「目覚ましは7時に合わせて・・・と」

町の人たちはいつもと同じなのに、俺たちは違う。明日は決戦の日なのだ。もしかしたら・・・皆死んでしまうのかもしれないのだ。

「・・・寝よ」

そんな怖いことを考えていたら本当に負けそうだ。俺は疲れていたのか、目を瞑るとすぐに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピピピ!バン!

「・・・ん?」

目が覚めると、窓の外はまだ薄暗い。時計を見ると、なぜか朝の4時だった。

「(あれ・・・俺目覚まし7時にしてなかったっけ・・・)」

「ソロ、起きた?」

「うわぁっ!!!」

ドアの外からいきなり声が聞こえ、俺はベッドの上で跳び跳ねた。

「話したいことがあるの・・・ちょっと外に出ない?」

「あ・・・あぁ、わかった・・・。着替えるからちょっと待ってて」

アリーナだ。きっとこの目覚ましもアリーナの仕業なのだろうか・・・。しかし、話とあっちゃ断る訳にもいかない。俺も謝りたかったからだ。

 

 

 

 

「(う〜、緊張する・・・)」

アリーナはソロが着替えている間、ドアの外で緊張に震えていた。ソロ、あの時のこと許してくれるかな・・・。

 

「姫様、サランなら朝日が昇るのがきちんと見えますし、遠くでマローニさんの唄も聞こえるのでいいんじゃないですか?」

そんなクリフトに昨日もらった助言を思い出していた。このまま仲直りできたらいいのに・・・。

 

「おい」

「きゃ・・・!」

後ろからソロの声が聞こえ、アリーナはびくりと肩を上げた。

「・・・あんま大きい声出すんじゃねーよ」

「ご、ごめん!じゃあ行こうか・・・?」

アリーナはソロの手を引き、外に出た。

 

 

 

 

俺がアリーナに連れてこられた場所は、教会の上だった。朝日が顔を少しだけ覗かせているのが見える。夜明けの風は心地よかった。

 

「あれ?マローニがいないわね・・・」

「どうしたんだ?」

「う、ううん!なんでもない!と、とりあえず座ろ?」

アリーナがしゃがむから、俺もしゃがむ。しばらく、二人に沈黙が流れる。

「・・・あ、あのねソロ」

「・・・ん?」

「この間は・・・ごめんね」

アリーナが申し訳なさそうな顔で俺を見る。俺は少しだけ笑った。

「別にいいよ。俺も悪かったし・・・」

「違うの!私・・・あの後ね、クリフトと・・・キスしちゃったの・・・」

そのアリーナの言葉に、俺は動きを止めた。クリフトと・・・キス?何でだ?

 

「私・・・ね、ソロは何でミネアのキスを避けないのか分かんなかった。でもね、クリフトにいきなりキスされたら・・・私、避けられなかった。驚きすぎて、何にも出来なかった・・・!」

アリーナの瞳からは、たくさんの涙が溢れ出していた。俺はビックリしたが、どうすればいいのかがさっぱりで何もしてやれなかった。

 

「だからソロに・・・謝りたかったの・・・怒鳴っちゃったりしてごめんね・・・」

アリーナは俯く。俺は歯を食いしばっていた。何で…。

 

「・・・アリーナ」

「え・・・・・・?」

アリーナが俯いていた顔をあげた時、俺はキスをした。

 

「・・・・・・消毒って言ったら・・・怒るか?」

「・・・え、え?えぇ?」

アリーナの顔は段々と真っ赤になって爆発しそうだった。こっちまで照れてくる。

 

 

「・・・俺・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前のことが好きだから」

「!!」

アリーナは目を見開いていたが、すぐに笑った。

「うん・・・私も、ソロのこと大好き!」

 

アリーナは俺に抱きついてきた。胸元にあるアリーナの頭を撫でる。

アリーナが、顔を上げた。俺は、アリーナの頬に伝っていた涙を手で拭いてやった。そしてもう一度、唇を重ねる。

 

 

 

 

「もう・・・違う奴とはしないって、お互い約束しようぜ?」

「うん・・・そうだね!」

 

俺とアリーナの小指が、絡まった。朝日が俺たちを照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっかぁ。じゃあラブラブになったのねあんたち!」

アリーナが言いふらしたのか、仲間には今朝のことが既に知れ回っていた。俺は肩を落とす。

 

「姫様が言って下さればじぃも今朝早起きして見守るというのに・・・!」

「見守らなくっていいっつーの!」

ブライの頭をスリッパですぱこーんとしばいたマーニャ。二人は睨み合っている。

 

 

 

 

「さぁ今日は決戦の日ですぞ。皆さん気を引き締めましょう!」

ライアンは威厳のある目付きで言う。俺たちは頷いた。

 

 

 

いざデスピサロの元へ!

 

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あとがき
キターー!
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2009.12.12 UP