告白
「ん・・・」 が意識を取り戻したのは、翌日の夕方だった。 「そっか・・・私たち昨日、ラプソーンと戦ったんだ」 それで・・・私意識をなくしちゃって・・・。
勝てたのかな、ラプソーンに。 きっと、勝てたよね? だってたちは強いもん。
「あれ、そういやグォォ!?」 の姿がないことに気がついて名前を言おうとした瞬間、口を押さえられた。 「・・・!?」 その手の先を見ると、口の前で人差し指を当てて「しーっ」と言うだった。
「ど、どうしたの・・・?もしかしてずっと診てくれてたの?」 「うん、まぁ」 「ごめんね、疲れてるのに・・・っ」 「いいよ。それよりも、ちょっとに聞きたいことがあって」 「え・・・?」 が首をかしげると、は「あ」と言った。 「そうだ、体調のほうは大丈夫?」 「あっ、うん、それは大丈夫・・・!」 ぎゅっと手を握ってみたり、足を動かしてみたりする分には大丈夫。頭がふらふらしたりすることもないし。
「で、話なんだけど」 「? うん」 「、意識失う前になんて言おうとしたの?」 「!!」
意識を失う前に言おうとしてたこと、といえばそれは告白で。 でも、今は周りで仲間が寝ている。 ベッドから起き上がった状態で、の顔を覗き込むように見て来る愛しいの顔、瞳。
「・・・あの・・・」 「ん?」 「こ、こんな・・・っいえない・・・!!」 「あの時は言えそうで今はいえないの?」 「う・・・っ」 何だか今日だけが悪魔に見える・・・!!
「あの・・・あれは・・・ほんと、忘れてください」 「忘れないよ!」 は更に顔を近づけてくる。
の鼓動がどんどんどんどん早くなって、この静かな部屋に響き渡ってるんじゃないかと思ってしまうほどだった。もう口から心臓が出そうで、顔も火を吹いてるんじゃないかなってくらい熱い。 「い、いつか言うから・・・あの、」 「今言って、気になるから」 の目はを捕らえて離さなかった。
「・・・」 「!?」 耐え切れなくなったか、はをぎゅっと抱きしめた。 「ちょ・・・・・・! 〜〜〜っ」 はぎゅっと目を瞑った。
「・・・・・・・・・き・・・」 「・・・え?」
「が・・・・・・す・・・き・・・」
「・・・・・・」 「・・・・・・・・やき」 「え?」 「がすきやき!!!」
はそう言うと、抱きつかれているの手を振り払って布団の中に潜り込んでしまった。
「・・・もういいや・・・」 は嬉しいながらもため息をつき、自分のベッドへと戻った。
しばらくしてから仲間がぞくぞくと起き、レティスの元へと再度行くことになった。
「さん、お体は大丈夫なのですか?」 「あ、はい。体力はもう全然・・・」 「さんが吸い取られてしまった魔力ですが、きっともう少しすればまた前のように戻ると思います」 「そ、そうなんですか? それならよかった・・・!」 は嬉しそうにほっと胸をなでおろした。仲間も安心したようにを見る。
「では皆さんもおそろいになったので、今から大切なことを言いますね。今日はもう遅いのでこれは明日からでいいのですが」 「お? なんじゃなんじゃ!何とでもどーんと言うがよい!」 トロデ王は心待ちにしていたかのように、レティスの話に耳を傾けた。
「この世界のどこかに7つ、オーブが散らばっています」 「オーブ?」 「暗黒神が完全復活してしまった今、この方法でしかラプソーンの結界をやぶる方法はありません。結界を破らなければ戦いにもなりませんから」 「そのオーブはどこに・・・?」 が尋ねると、レティスは止まり木から下に目をやった。 「ここに双子の巫女を呼びました。この二人はオーブがどこにあるのかを知っています。わからない時は聞くとよいでしょう」 「「よろしくお願いします」」 二人の巫女はお辞儀をした。 「へー!巫女ってだけあってやっぱ美人だなあ。お嬢さんがた、今度俺と「はいはいちょっと黙りましょうねバホ」 「・・・ゼシカ、バホってなんだ」 「バカとアホを混ぜたのよ」 「・・・・・・・・・・・」 いつもどおりの5人だった。
「「あなたたちにこのやまびこの笛を差し上げます」」 巫女はそういうと、に「やまびこの笛」を渡した。 「うわっ女の子からプレゼントとか・・・くっそー」 ククールが悔しがっているのはとりあえず置いといて、は聞いてみた。 「これはどういう時に使えば・・・?」 「「オーブが近くにあるときに吹くと綺麗な音が奏でられます。探す時のヒントにどうぞ」」 は試しに吹いてみたが、この近くにオーブはないらしく何の反応もなかった。
「今日はもう暗いですし、探すのは明日でよいでしょう。7つ集まったらまた私のところへ来てくださいますか?」 「わかりました。じゃあ今日はもう戻ろう、みんな」 「はーい!」 そう言って、たちはレティシアへと戻ろうとした。
「姫様!レティシアまで競争しましょう!」 「ヒヒ!?」 はいきなりスタートし始め、ミーティアはそれについていくかのように走り始めた。
「・・・、すげえな。馬の速さと同等だぜ」 「姫様はそんなに走るのが得意じゃないほうだから・・・」 の足の速さはなかなかのものだった。
「じゃあ明日は早く探せるように2人と3人で分かれようか」 「ここはやっぱり!兄貴とアッシのペアでがすよねー!」 「いや、俺とゼシカだろう」 「はぁ?あんたたち何言ってんの?私とに決まってるでしょ?」 「え?あの・・・私は別に誰でも・・・」 やいやいと宿屋で明日のメンバーを決めていると、誰がペアになるかで揉めてしまう。
「あー・・・みんな。僕からのお願いなんだけど」 「「「 ? 」」」 「明日は、僕とのペアにさせてもらっていいかな」 がそう言うと、は目を大きく見開いて顔を真っ赤にした。 「それならもっちろん!」 「おっけーでがす!」 「むしろそれが当たり前なくらいだな。俺たちは見落としていた」 ククールが何か今日おかしい。
「じゃあ明日はそういうことで。いいよね、」 「ふええ・・・う、うん・・・」 今日のことがあってからか、はの目を見ない。 「いいよね、?」 「はうああああああ!!!いいです!!!いいですとも!!!いいとも!!そうですねー!!!」 「あの、別に僕タ○リさんじゃないんだけど」
そんな二人を見ていて、ゼシカはククールとヤンガスにこそこそと話し始めた。 「ねえ、あの二人なんかあったの?」 「わかんないでがす」 「・・・ふふ」 今日のの告白シーンをたまたま起きて聞いていたククールは、楽しいといった顔で含み笑いをした。 「ちょっとククール!何か知ってるんなら教えなさいよ!」 「・・・それはまた言うよ」 「今いいなさいよ!」 「ゼシカー、何してるのー?」 「な、なんでもないわよー!」 に後ろから尋ねられて、ゼシカはうふふと笑った後にククールをキッと睨んだ。ククールはにこりと笑う。
「・・・ほんっと、あんたは最初っから最後までそのキャラ突き通すつもりなのね」 「なんだよー、わりいかよ」 「・・・最初は、だいっきらいだったわよそういうあんたが」 「え?最初は? ・・・今はちげえの?」 ククールがゼシカの顔を覗き込んだ。 「・・・きらいだったらいつまでも旅続けてないわよ!」 ゼシカは顔を少しだけ赤くして、ふんっと顔をそらした。 「・・・ほんと、最初から最後まで照れ屋だったな」 「何!?何か言った!?」 「いーや、別になーんも」 ククールはにかりと笑った。
「一番最初の町からまわって行こうか。とりあえずトラペッタ」 「じゃあたちは右の大陸を回ってよ。私たちは左の大陸を回ることにするわ」 やまびこの笛はひとまず人数の少ない・のほうが使うことになった。
「なぁなぁ、今日の夜はベルガラック集合にしようぜ」 「え、何で?」 「・・・今日でたぶんこのメンバーで過ごす夜も最後だろ。最後くらいパーッとカジノで遊ぼうぜ」 「最後じゃなくても遊んでるでがすけどな」 「・・・いいじゃねぇか!!行こうぜ!!」 ククールの提案に、反対は誰もいなかった。
「じゃあいこっか」 「うん!」
の腕に捕まり、二人はトラペッタへとルーラした。
あとがき 2010.10.03 UP |