レティスを追え!
「ほぉ・・・外界から旅人さまか!よくいらっしゃったなぁ」 長ーい髭とお前、ちゃんと前見えてんのかと思うほどの細い目の村長さんは、たちを笑顔で出迎えた。は村長さんにひとつ礼をした後、早速レティスの話を聞くことにした。 「あの・・・村長さんは神鳥レティスって知っていますか?」 「ああ、神鳥様のことじゃな?もちろん知っておるよ。なんたってこの村はレティス様を崇める村なんじゃからな」 ハッハッハと笑った村長さんは細い目をカッと見開いた。 「ってお前さん何初対面でレティス様を呼び捨てにしとるんじゃァァァァ!!」 「うわぁぁぁ、ごめんなさい!!」 すごい細かったのに見開くと意外と大きかった目のギャップに驚いたは、咄嗟に土下座した。その後に続きヤンガスやたちも土下座する。 「何!?なんであんな目デカいのよあのオッサン!!」 「わかんない!わかんないけどめっちゃデカかった!」 「すげぇデカくて怖かったでがす・・・!!」 土下座しながらひそひそ話で話すゼシカと、ヤンガスだった。
「・・・コホン、まあ顔を上げい。それでレティス様がどうしたんじゃ」 「えっと・・・それがレティス・・・」 その瞬間また目を見開く村長さんにまたたちは土下座した。
「れ、レティス様に会いたいんです。どうしたら会えますか・・・?」 がゆっくりと顔を上げて村長さんにそう聞くと、村長さんは少し残念そうな顔をした。
「レティス様はこことは違う闇の世界にいるんじゃよ」 「闇の世界・・・?」 「そうじゃ」 ゆっくりと頷いた村長さんは立ち上がり、ひとつの本を取り出した。
「この本にレティス様のことがたくさん載っておる」 本を開き、何かを探し出すと村長さんは咳払いをして本の内容を読み始めた。
「昔、神鳥レティスはこの光の世界を支配しようとした暗黒神ラプソーンと戦った。無事戦いを終えたレティスは・・・なんか知らんが闇の世界に閉じ込められてしまったのじゃ」 その瞬間、一同はもちのろんでズッコけた。 「えええぇ、村長さん知らないんですか・・・!?」 「だって本にそう載っておるんじゃもん」 何このお茶目な村長さん・・・!!と思ったはがっくりと肩を落とした。
「お主ら、ここへ来る途中に鳥の影は見なかったのか?」 「影?・・・あ、そういえば大きいのが・・・」 がそういうと、村長さんはうんうんと言った。 「それがレティス様の影じゃ。闇の世界はワシらが今いる光の世界と全く同じ構造。こちらの世界でレティス様の影が見えたということは、今闇の世界でレティス様がその辺りを飛んでいるということなのじゃ」 「へぇー・・・すげぇな」 ククールがここに来て初めて口を挟んだ。
「とにかくこの世界でのレティス様の影を決して追ったりなどしてはいけんぞ」 「え?どうしてですか?」 「レティス様もきっと寂しいんじゃろう。影に着いていけばお主らも闇の世界へ連れて行かれるかもしれん」 神鳥も寂しいんだ・・・。と思ったが少し噴出すと、村長さんはまたまた目を大きく見開いたのではすかさず土下座した。
「追われるなっていうほど追いたくなるのが人間の習性ってやつだよなー」 「逃げられると追いかけたくなるっていうのもねー」 村を出て草原をブラブラとしていた一行。ククールとはそんなことを言っていた。
「それにしても村長さんの目がすごい怖かった件についてなんだけど・・・」 「あれは何?狙いなの?村民を怖がらせるための狙いなの?なんで元からあの大きい目のままでいないの?」 村長の目について5人は熱く語り合っていた。
「えぇい!!その村長の目が何なのか知らんが情報は手に入ったのか!?」 ワイワイと話している5人の背後で、体を大きく広げて馬車の荷台の上に立つトロデに気がついたヤンガスは振り返った。 「あれ?おっさんいたんでげすか?」 「な・・・なんじゃその忘れてたみたいな言い方は!」 「いや、だって本当に忘れてたでげす。ねぇ兄貴?」 「えっ!?え・・・っと・・・」 トロデさん、正直言って主君のことを忘れてたみたいですさーたンさん!!
「・・・ふん、もうええわい・・・」 荷台の上で石を蹴る素振りを見せたトロデは、馬車の中へと入っていってしまった。 「あーあ・・・ヤンガスってば・・・」 ゼシカは呆れたというように腕を組んだ。
「あれ?これって・・・」 大陸のちょうど真ん中辺りだろうか、神社の鳥居のような木が大きく置いてあった。レティスの止まり木か何かなのか・・・。 「そういえばこれ、村にもあったね」 がその鳥居を見上げながらそういった、その瞬間だった。
「うわお!!!」 レティスの影が現れた。影はまるでたちの周りを回るようにして飛んでいる。そしてその旋回を途中で止めると、大陸の端のほうへと導くようにして飛んでいった。 「・・・ねぇ、追いかけてみましょうよ」 ゼシカがそういうと、みんなは賛成した。
「うおぉぉぉちょっとドコ連れてくんすかァァァレティス・・・様!!」 「いや、横通ればよくね?」 レティスは毒の沼地の上をスイスイと飛んでいく。地を走っているたちは毒の沼地の上を通る訳にはいかないので、ククールやゼシカたちはちゃんと沼地の横を通っていく。しかしはそのまま直進し、沼地へと入っていく。 「あぁそうかぁ、横通ればいいんだー!やっぱククールは頭いいねー」 「お前がバカなんだろ」 そんなことを言うククールに1発ビンタを食らわしたは、沼地を出て再びレティスを追いかけたのだった。
「行き止まりじゃないでげすか・・・」 レティスへ着いていくと、大陸の端にたどり着いた。周りは岩や崖でもう進む場所はない。レティスの影はというと、たちの足元でずっと旋回している。
「もう!追いかけて損したって訳?あの村長ぶっ殺してやるわ!!」 「早まんないでよゼシカ・・・あ?」 殺気だって今にも呪文をレティシアに向けているゼシカを抑えるようにが腕をつかむと、異変が起きた。
「なに・・・コレ・・・」 の目の前で、ぐるぐるとした何か黒いものが生まれる。
「歪か何かか・・・?」 「もしかしてコレを越えたら闇の世界にいけるのかも?」 がそういうと、みんな村長の言っていたことを思い出した。
「・・・村長さんが言ってたことはこのことなのか・・・」 は少し冷汗がでたが、歪を越えようと決心した。
「行こう!」 そう言っては歪へと飛び込んでいく。それに続いてやククールも。
「世界の破れ目ェェェェェェーー!!」 と叫びながら飛び込んでいくのは、ヤンガスだった。
あとがき 2009.09.13 UP |