決戦の前
緊張感が張り詰める中、鏡を今まさに遺跡の前のくぼみに嵌めようとしているの手元を4人は見ていた。 自分の目線はいつも先、ドルマゲスを倒すために進むんだ。姫様、王様の、城のみんなの呪いを解くために。兄貴のために。
5人それぞれの思いを心に染み込ませながら、は鏡を穴にはめ込んだ。 しばらくしてゆっくり目を開けると、遺跡の入口からも溢れ出ていた黒い闇の結界がなくなっていた。
「みんな・・・行こう!」
の合図の言葉と共に、それぞれの気持ちを吐き出していた。
中は薄暗く、気味も何だかわるく背中に寒気が走る。まるでお化け屋敷にでも来ているようだった。
「・・・何ここ?」
たち5人の目に映ったものは、とても大きな壁画と、巨大な石像。 どうやら魔物は出ない場所のようだが、自分たちの目の前に広がる光景にただただ疑問符を浮かべるしかなかった。
「道間違ったのかな?先もう進めないみたいだし・・・」
たちの話に割り込んで来たのは、その間にいたさまようたましいだった。
「両翼を・・・焦がす?の?」
そう言うとさまようたましいの炎は一段と小さくなった。
「ラプ・・・ソーン・・・?曲名ですかソレ」
かなりの激しく上手いの突っ込みに、はえー?と頭を抱えている。 その時だった。
ワタシハ 必ズ 光ノ 世界 ニテ 復活 スル ―――。
「!?」
は辺りを見回した。が、当たり前だけど自分の仲間しかいない。 「どしたんでげすか」 全員がに不思議そうな目を向けて来る。確かに、本当に聞こえたのだ。
七人ノ 賢者ノ 末裔ヲ 殺す ―――。
「!」
また聞こえる。まるで頭の中に、文字が流れ込んできているような感覚。
「ね、ねぇ・・・みんな、本当に何も聞こえないの?」
嘘だ・・・。は信じたくなかった。私にだけ聞こえている?どうして・・・。
「両翼を焼くってこんな感じか?」
巨大な石像の横にある赤や青のボタンを押すと、光線が右や左に操作することが出来た。
「やっぱり、仕掛けだったんだ・・・」
が少し深刻そうな顔をしていた。
「・・・感じる。近いよ、ドルマゲスは・・・」
が階段の向こうを見つめ、誰一人の顔を見ずにそう言った。 「私にもわかるわ。何だか、床の下から何かを感じるような、そんな感じなの」
「・・・行こう」
のその声に、ゼシカたちは頷いた。
少し先に進むと、脇道に泉があった。
「この泉何かな?」
ドラクエには必ずあるであろう、ボスの前の完全回復ポイント。きっとこの泉がそうなのだろうとは思った。
「あ、ほんとだわ。力が何かみなぎってくる感じ・・・」
泉の水を手ですくい上げながら、色々話す5人たち。
「きっとこの先にいるんでがすね、ドルマゲスが」 ククールたちが見たものは、泉に足をつけているだった。
「おめー・・・足湯じゃねんだぞ。飲めよ。その足どうすんだよ何で拭くんだよ」
ヤンガスは既に靴を脱ぎ、今にもと同様に足を水につけそうだった。
「ちょっとヤンガスやめてよね!ヤンガスが足に水つけたらもうこの泉の水が飲めないじゃない!」 唯一ヤンガスを救うであろうまでもがそう言い、ヤンガスはショックを受けていた。
「この濡れた足どうしましょー!誰か服で拭かせて!」 そこには、とても決戦前だとは思えない賑やかな笑いがあった。
「・・・」
生唾を飲み込み、5人は緊張しながらも大きな扉の取っ手を手にかけた。
「・・・みんな心の準備は?」
ヤンガスが手を振ってそう言ったが、誰も突っ込まなかった。
たちは、大きく気味の悪く重い扉を、力入れて開けた。 その向こうには・・・紫色のしゃぼん玉のような丸いものの中に入り、眠る道化師姿のドルマゲスがいた・・・。
あとがき 何この決戦前なのにギャグばっかな話・・・。 次はちゃんとした戦いシーンなので!笑 2009.02.27 UP |