決戦の前


「い、入れるよ・・・?」
「う、うん」
緊張感が張り詰める中、鏡を今まさに遺跡の前のくぼみに嵌めようとしているの手元を4人は見ていた。
サザンビークの宿を出てすぐに、
たちはこの闇の遺跡に向かった。この闇の結界を解くためにかなり遠回りして来たが、
やっとその時が来た。これからは、後ろを振り返ってはいけない。ひるんだりしてもいけない。
自分の目線はいつも先、ドルマゲスを倒すために進むんだ。姫様、王様の、城のみんなの呪いを解くために。兄貴のために。
兄さんの仇のために。院長の仇を討つために。愛しき人のために・・・。
5人それぞれの思いを心に染み込ませながら、は鏡を穴にはめ込んだ。
その瞬間、眩しい光が一直線に遺跡の中に突っ込んだ。余りの眩しさにアルシェたちは目をつぶった。
しばらくしてゆっくり目を開けると、遺跡の入口からも溢れ出ていた黒い闇の結界がなくなっていた。
 
「みんな・・・行こう!」
「うん!」
「ゴーでがす!」 「兄さん・・・待ってて・・・」
「・・・・・・・・・院長・・・」

の合図の言葉と共に、それぞれの気持ちを吐き出していた。

 
 
 

中は薄暗く、気味も何だかわるく背中に寒気が走る。まるでお化け屋敷にでも来ているようだった。
しかもかなり複雑な構造だった。遺跡自体そのものはそんなに大きくないのだが、仕掛けがややこしい。
出て来る魔物たちもかなりの強敵で、なるべく無駄な動きはしたくなかった。慎重に周りを見渡し、どこに何があるかを把握しな がら
たちは奥へと進んで行った。
 
「・・・何ここ?」

たち5人の目に映ったものは、とても大きな壁画と、巨大な石像。
石像からは光線が出ており、光線の当たっている壁は焼け焦げている。

どうやら魔物は出ない場所のようだが、自分たちの目の前に広がる光景にただただ疑問符を浮かべるしかなかった。
 
「道間違ったのかな?先もう進めないみたいだし・・・」
「いや、ここしか来る場所なかったはずだよ。きっとこの部屋に何か仕掛けが・・・」
「レティスの両翼を・・・焦がせばいい・・・」

たちの話に割り込んで来たのは、その間にいたさまようたましいだった。

 
「両翼を・・・焦がす?の?」
「そう・・・すれば・・・ラプソーン様が・・・」
そう言うとさまようたましいの炎は一段と小さくなった。
 
「ラプ・・・ソーン・・・?曲名ですかソレ
「いやいやいやさっき『様』ついてたの聞こえなかった!?どう考えても名前!名前だから!曲に様なんてつけてる人?いやこの
たましいは人じゃないかもしれんけどただのバカじゃん!」
かなりの激しく上手いの突っ込みに、はえー?と頭を抱えている。
その時だった。
 
 
ワタシハ 必ズ 光ノ 世界 ニテ 復活 スル ―――。
「!?」
 

は辺りを見回した。が、当たり前だけど自分の仲間しかいない。

「どしたんでげすか
「い、今声聞こえたよね?私は必ず光の世界にて復活するって」
「聞こえなかったぜ?」
全員がに不思議そうな目を向けて来る。確かに、本当に聞こえたのだ。
 
 
 
七人ノ 賢者ノ 末裔ヲ 殺す ―――。
「!」
 
また聞こえる。まるで頭の中に、文字が流れ込んできているような感覚。
「ね、ねぇ・・・みんな、本当に何も聞こえないの?」
「だから何がなのよ?何も聞こえないわよ?」
嘘だ・・・。は信じたくなかった。私にだけ聞こえている?どうして・・・。
何をそんなに、私に伝えたいことがあるのか。
 
 
 
 
「両翼を焼くってこんな感じか?」
「も・・・うちょい右なのかな・・・?」
巨大な石像の横にある赤や青のボタンを押すと、光線が右や左に操作することが出来た。
そのまま光を、壁画の輝く鳥の翼に当てる。もう片方も同じようにすると、いきなり何もなかった場所に階段が現れた。
「やっぱり、仕掛けだったんだ・・・」

が少し深刻そうな顔をしていた。

 
「・・・感じる。近いよ、ドルマゲスは・・・」

が階段の向こうを見つめ、誰一人の顔を見ずにそう言った。

「私にもわかるわ。何だか、床の下から何かを感じるような、そんな感じなの」
 
 
「・・・行こう」

のその声に、ゼシカたちは頷いた。

 
 
 
少し先に進むと、脇道に泉があった。
「この泉何かな?」
「きっとあれだよ!ほら、えーっと・・・HPMP完全回復っていう・・・あの幻の・・・ラスボスの前にあるやつ」
「ラスボス?何それ?」
いやこっちの話ですすいません
ドラクエには必ずあるであろう、ボスの前の完全回復ポイント。きっとこの泉がそうなのだろうとは思った。
今目の前に広がっているのは、ドラクエの世界なのだから。
 
 
 
「あ、ほんとだわ。力が何かみなぎってくる感じ・・・」
「こんなところにそんなすごいものがあるなんてな。ドルマゲスは余裕ってことなのか?」
泉の水を手ですくい上げながら、色々話す5人たち。
 
「きっとこの先にいるんでがすね、ドルマゲスが」
「とうとうこの時が来たのね・・・。絶対に兄さんの仇を討ってやるんだから!」
「俺も院長の・・・何してんだ

「え、こうしたら気持ちいいよ?」
ククールたちが見たものは、泉に足をつけているだった。
 
「おめー・・・足湯じゃねんだぞ。飲めよ。その足どうすんだよ何で拭くんだよ」
「えっあぅ・・・忘れてた・・・」
「お願いだから後先考えて行動してくれ・・・ってヤンガス!おまえまで入れようとすんな!
ヤンガスは既に靴を脱ぎ、今にもと同様に足を水につけそうだった。
 
「ちょっとヤンガスやめてよね!ヤンガスが足に水つけたらもうこの泉の水が飲めないじゃない!」
「ええ!?アッシちょっと傷ついたでがすよ!?
はOKでアッシはダメなんでがすか!?」
「だってヤンガスの足って水虫とかありそうだもの。あと臭そう」
がOKなのは女子だからな」
「ひっでー!兄貴ーー!」
「・・・ヤンガス。やめておいた方がいいと思うよ・・・。僕もちょっと嫌かな・・・うん・・・ごめん・・・」
唯一ヤンガスを救うであろうまでもがそう言い、ヤンガスはショックを受けていた。
 
 
「この濡れた足どうしましょー!誰か服で拭かせて!」
「自分の服で拭け」
「よーし、そんじゃククールのマントで拭いたろ」
拭くな!拭くんじゃねえ!とりあえず俺に許可をもらってからにしろ!まあ、言われても許可は下さんけどな?
「死ね!死んでこい!いっぺんククさん芯で恋!」
「いや思いっきり誤字ってるわよ、
そこには、とても決戦前だとは思えない賑やかな笑いがあった。
 
 
 
 
 
 
「・・・」
生唾を飲み込み、5人は緊張しながらも大きな扉の取っ手を手にかけた。
「・・・みんな心の準備は?」
「「「「 おっけーでがす 」」」」
「何でみんなアッシと同じ口調にするんでがすかー!」
ヤンガスが手を振ってそう言ったが、誰も突っ込まなかった。
 
 
 
 

たちは、大きく気味の悪く重い扉を、力入れて開けた。

その向こうには・・・紫色のしゃぼん玉のような丸いものの中に入り、眠る道化師姿のドルマゲスがいた・・・。
 

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あとがき
やばいwちょw(黙

何この決戦前なのにギャグばっかな話・・・。

次はちゃんとした戦いシーンなので!笑

2009.02.27 UP