カジノ都市の事件
船を手に入れたたちは今、西の大陸に向かって大海原を走っていた。 「の世界の海は青くないのか?緑とか紫とか?」
所々に変な会話も混ぜ込みながら、着々とたちの旅はドルマゲスに近付いているのだった。
「にしても海上でも魔物は出るんだね〜・・・。こうもっと優雅な感じを想像してたんだけど」
力なくの声は小さくなって、波の音に紛れて消えていった。
「?」
と一緒に夕陽を見ているという設定の絵を頭の中で描いていた途中で、まさかの妄想のお相手てある本人ご登場。
「いっ、いいいいいきなり出て来たらびっくりするでしょ!」 どんな顔だそれ。すごい遠い目とか・・・?
「餌を与えないでください・・・」
船を走らせてから、かなりの時間がたった。西の大陸ももう目の前だ。
「・・・あ、あそこ何か教会っぽいのあるわよ。今晩はあそこで泊めさせてもらいましょうよ」
ゼシカが指さす方向には、確かに何かの建物が丘の上に佇んで居た。 タラップを出して陸に上がると、もう外は真っ暗な中をかけ足でたちは教会の中に入って行ったのだった。
「長旅お疲れ様です。当教会は巡礼者様以外でも、旅に疲れた方たちも無料で宿を貸して居ますよ」
一番最初に出迎えたシスターはそう言うと、ニッコリ笑ってベッドのある部屋まで案内した。
「ここですよ。ゆっくり休んで疲れをとってくださいね」
が礼すると、みんなも同じようにした。
「っはー疲れた・・・もう寝る・・・」
ククールはそう言うと、一つ大きなあくびをして、ベッドに倒れ混むようにして眠った。
「は寝ないの?」 用?とが尋ねると、はニコッと微笑んで、部屋の傍にいるシスターに何かを聞き始めた。
「あの、ここの近くに街がありますよね?さっき来る途中に明るい光が少しだけ見えたので」
そりゃククールがガックリするだろうな。
「明日みなさんで立ち寄られるんですか?」
はその後も何人かに聞きこみをし、何件かの情報が手に入った後、眠りについた。
翌朝、鳥のさえずりがなる中、ゼシカは一番に起きた。 「さて・・・と・・・。どうしよっかな。みんな起こそうかな」
グーッと伸びをすると、ゼシカはドレッサーの鏡を見ながらツインテールを一度ほどいて、整えた。
はやく誰か起きないかなと思った瞬間。
「グオオオオオオオオオウ!」
ガクッと何かを踏み外したように体が上下に揺れると、はハッと目を覚ました。 「・・・?どうしたの?」 息づかいを荒くしながら、はゆっくりとベッドから起き上がり、ゆっくりとゼシカに顔を振り向けた。 「ねえ大丈夫?何か怖い夢でも見たの?」
「崖から落ちた夢見たああああぁぁぁぁーーーーーー!!!」
その後、ゼシカがをどのようにしたかは、皆さんのご想像にお任せいたします。ウフ。(←
「泊めてくださってありがとうございました」
シスターは教会の外まで見送ってくれた。もう毎日でも来てやろうか。
「ねね、あそこに微妙に見える街ね、カジノ都市なんだって!」 ククールは激しくショックを受けた。何トンもの岩が頭に乗っていたように見えた。
「それでなんだけど、オーナーの家に強盗が入り込んだんだって。そのショックで引きこもってるらしいんだけど・・・
少し考えこむと、が切り出した。 「今ここで考えてても先には進めないし、とりあえずその街に行こうよ。何か情報が得られるかもしれないしさ!」
そんなことを言うククールに、ゼシカはメラを一発ぶっ放した。
「おおーなんか賑やかな街だねえ」
ククールはちょっとだけ悲しそうな顔をして、地に「の」の字をひたすら書き始めた。
「・・・あんなバカほっといて情報収集に行くわよ。とりあえず二手に別れましょう?」
そう言うゼシカの意見に、反対はなかった。
「じゃ、じゃあ・・・そ、その・・・僕と行かない・・・?」 辺りに喜びの花を飛び散らかしながら、ニコニコ笑うを見て、はホッとした。
「じゃあヤンガスと・・・バカは私と行くわよ。ああもう、キノコ生えてる!抜け!キモイからくっつくな!」
ひとまず街に入ってすぐあった宿屋の中に入り、とは情報収集に出かけた。 あ、いたわ。舞台袖に隠れてるおっさんが。
酒場を出て二階に上がると、何やら話し声が聞こえてきた。
「、足音なるべく立てないで」 ひそひそ声で話すと、声のするほうへ耳を澄ました。
「これ、誰にも言っちゃだめだぞ?」
素手でクマって・・・あんた・・・。
「だから引きこもってるってのも嘘でギャリング様はもうこの世にはいねえんだ。誰にも言うなよ」
「なんか重要な話っていうか・・・聞いちゃいけない話だったのかな・・・」
それだけはきっと決定している。今までの犯行と同じで、別に金目のものは盗らない。
「あ、ゼシカたちだ。今の話言わないと」
キノコとゼシカとヤンガスに話しかけて、さっきの話を聞かせた。
「何よそれ!絶対ドルマゲスじゃない!」
ヤンガスが太くて短い指で指した場所は、紫色で塗られた北西にある小さい島。
「なんか嫌な雰囲気ね、地図だと。とりあえずさっさと行きましょう!」
街を出て船に乗り込むと、たちは急いで北西の孤島へと船を走らせたのだった。
あとがき 2008.12.18 UP |