ドン・モグーラ
「うわああ、もうなんかムリ!却下!駄目!ひょえー!あームリです、もうダメです、ジメジメして暑いです」 「もう、洞窟の中ってどうしてこう湿気がすごいのかしら・・・」
とゼシカの女2人でグチグチ言いながら、水で濡れて足場がとられそうな洞窟を歩いていた。洞窟の中はモグラが掘った後ということで高さは低く、通路も狭く暗い。
長身のククールは腰をかがめていたので、腰が痛そうだった。 ヤンガスは背伸びしてもまったく届かなかったけどね。 「みんな頑張れー」 「なんでそんな爽やかなんだよ・・・」
はこんなジメジメした洞窟の中でも、オレンジのバンダナをなびかせて爽やかにしていた。
しばらくすると出口があった。ククールはひたすら腰を叩いている。
「まだ本拠地みたいなのじゃなかったのかな?」
「この奥にあるってことかしら」
世界地図を見ると、何か小さく記されている場所があったので、たちはそこを目指すことにした。しばらく歩いていると、やはりそこには洞窟の入り口があった。
「今度はどうか高さがある洞窟でお願いします」
とひたすらククールは願っていた。
ククールの願いが叶ったのか、洞窟の高さはククールの身長の2倍くらいの高さはあった。 「へっへっへ、やっぱ聖職者を神は見捨ててなかったぜ、この俺様を」 「だーまれーイカサマ野郎が」
そのの言葉にククールは後ろから不意打ちで膝ガックンされた気分になったそうです。
しばらく歩いていると、色んなモグラに会った。たちに気付かない者、掃除をしている者、追い出そうとする者。
でも語尾には必ず、「ボス」という単語が入っていた。 「モグラにもボスがいるの?」 「聞いたことねえでがすな」 「モグラのボス・・・モグボス・・・スボのラグモ?」 「はい、さっさと行こうなみんな」
さっきの仕返しか、ククールはのボケにも突っ込んでくれなくなった。は1発、ククールにメラ(ザラキ並に殺意がこもってます★)を放ったのでした。
「んの!?」
「「「「え!??」」」」 奇怪な言葉を残して、の姿が見当たらなくなった。
「消えたちゃったな」
「いやいや消えちゃったなとかそんな簡単に言わないでよ!い、いいいいいなくなったって・・・」
は顔から冷や汗が流れ出た。口はガクガクして、本気で心配している。
「とにかく奥に進んでみましょうよ。もしかしたらそのボスとか言う奴のせいなのかもしれないでしょ?」
「う、うううう・・・う、ん。そうだね・・・」
その後のは戦闘には全く力が入っておらず、モグラに膝カックンされました。
「なんか変な音と声のハーモニーが聞こえるよ〜・・・」
変な叫び声を残してを心配させている中、さっきと同じ洞窟の中にいた。でも周りにはモグラだらけ。さっきまで一緒にいた仲間たちはいない。
の近くにいたのは、10匹くらいのモグラの群れ。そのモグラたちは「ううぅっぅうぅぅぅ」とかうめき声を上げながら、耳を塞いでいる。
確かに、耳を塞ぎたくなるくらいのその変な音と声のハーモニーは、今がいる洞窟より更に奥から聞こえる。
・・・ワタクシはこのとってもオンチな声に誘い出されたとでもいうのですか!? 「これ誰が歌ってるの?そういえば伴奏ハープみたいな音な気もするけど・・・」 が音の聞こえる方向へ行く。すると、周りにいたモグラたちは人間の言葉で行くことを否定した。 「だ、ダメだよ!今行っちゃ死んじゃうよ!」 「え?」
モグラは必死に首を横に振り、の行く道を塞いだ。
「僕らは君たちが洞窟に入って来たときに、ものすごい魔力を感じたんだ!それが君だって分かったから今ここに呼び寄せたんだけど・・・。本来なら君の魔力を奪い取りたい所だけど」 そう言うモグラに、は脱力した。人間の言葉を話しても所詮、魔物だと。 「・・・魔力・・・奪うの?」 「ちち、違うんだ!君のその魔力でボスを抑えてほしいんだ!」 「ボスを抑える?」
は不思議に思った。ボスと言っているということは、恐らく部下のモグラなんだろうけど。
「抑えるってどういうこと?」 「ボス、この間ここの近くのお城の宝物庫でハープを取ってきたんだ。でもボスって、音楽好きだけどジャイアン並にもう音痴で音痴で・・・ハープが気に入ったみたいで毎日のように歌ってるんだけど、僕らこのままだと死んじゃうよ!ボスの歌声で僕らは体力が奪われるばっかりなんだ!」 何でこのモグラはジャイアンを知ってるんだーーーーー!? はモグラの話よりそっちがとても気になった。 「・・・ねえ、話聞いてる?」 「え?ジャイアン?そうそうジャイ子の方が先に出来たんだよねーってああ、そうだった!違うよねえ!ボスがどーちゃらこーちゃら言ってたよね!抑えればいいのよね!」 「うん。でも今行ったら君でも・・・あ!・・・行っちゃった」 はモグラの言う言葉も耳に入れず、ボスの歌声が聞こえる方向へと走っていった。 その頃ご一行は・・・ 「痛ってー!!スキッパー蹴んな!うおおお踏み潰すんじゃねえ!そんな軽快なリズムで俺様を踏むんじゃねえ!」 「俺様とか言ってる暇あれば戦いなさいよ!ああもう、!はきっと見つかるからちゃんと戦いなさいよ!」 「う・・・・・・・・・・・・う・・・・うん・・・・・」 「兄貴しっかりするでげすーー!よっしゃあ、おおめだまにぬすっと狩り!ぬすっと狩り!あー金出てこないでがすー!」
「ぬわあああぁぁぁぁ〜ひんごぉぉ〜」 「うわ・・・強烈だあああ・・・・」
もう歌なのかと疑いたくなるくらいに、ボスはハープの弦を無造作にはじきながら歌っている。は耳を塞ぎ、ボスが持つハープを見つめた。
ボスは普通のモグラの5倍くらいの大きさで、かなりの巨体だ。ヤンガスも負けた。
自分たちの目的は、とりあえずあのハープだ。あのハープさえあればイシュマウリさんが船をきっと動かしてくれるはず。そうすれば西の大陸に逃げたと言われるドルマゲスを追うことができる。
「モグラー!いや、モグラのモス!あれ、ロス?」
「ヒョンナ〜〜〜パアアアアレえぇぇ〜」
はモグラのボスをひたすら噛みまくっている間に、ボスの歌は更に酷くなる。
「ちょっと!聞いてるの!?ロス!」 また噛む。だがいくら叫んでも、モグラのボスは自分の歌声の大きさでの声に気付いていない。
「あーーーーーーー!もう!気付いてよこのカス!」 今度は噛んだのではなく意図的に言ってしまった。ボスの大きく出た腹を蹴る。ボスが、ギョロリとを見下ろした。
「あ!なんかものすごいデカイモグラがいるでがすよ!」
「その横・・・あ、じゃない?よかった、この洞窟にいたのね!」 ゼシカのその言葉に、今まで力が全然入ってなかったは、大きいモグラの方向を見た。確かにその横には、水色のワンピースを着たが立っていた。
「・・・」
「何してんだ?あいつ。なんかモグラと睨みあってる感じに見えるんだけど」 「とりあえず行きましょ!あんな大きいモグラ、襲い掛かってきたら一人じゃ危ないわ!」
「お前は誰だ?」 「マイネームイズ」 「何故に英語?・・・まあいい。さっきカスとか言ったな?しかも私のこのボディを蹴ったな?」 「ええと逆に聞きますがそのボディが自慢なんですか」 「もちろんだ」 ええーーー!とは心の中で転げ回って笑った。そのお腹で!あなたのその心の自信を分けてほしいです!
「!」 「あ!たちだ!」 たちが、の元に駆け寄ってきた。 「何だ?こんなに大勢でお前たち、私の歌声を聞きに来たのか?」 「歌声?」 今来たばかりのたちは、ボスの歌声がジャイアン並に音痴なことを全く知らない。
「そうかそうか聞きにきたんだな!いいだろう、聞かせてやろう」
そう言うと、モグラボスはハープを適当に指ではじき、歌う。
「ここここここここ鼓膜破れるでげすぅぅぅぅ!」
「やめろーー!」 ククールの弓がとんだ。弓の矢先はボスの腹に突き刺さる。途中で歌が途切れた。 「痛!お、おま、このボディになんたることを!お前らは・・・私の歌声が聞きたくないのだな!」
ボスは巨大な体を揺らした。地面が揺れる。
「行くよ!みんな!」
の掛け声で、ド○小西・・・じゃなくてドン・モグーラを倒さなければいけないようだ・・・。
あとがき ドンドン防虫(あ 2008.12.03 UP |