再会
見覚えのある扉を開くと、そこはやはりヘチマウリのいる世界でした。 「やっぱり・・・あいつがいるあの世界ね」 ゼシカがフーと息を吐くと、円盤と円盤の間の見えない道にも怯えることなく、歩いていく。 コレで実は今回は本当に見えない道じゃなくて道がないんですよとか言って落ちたらおもしろいのにな・・・← 奥にある建物の扉を開ける。果たしてイシュマウリの家なのだろうか?部屋を見渡すと、イシュマウリがいた。何やらどこかを見つめているようだ。
「あの・・・」 「・・・ん?ああ、ようこそ人の子。・・・おや?よく見たらあのときの・・・」
イシュマウリはたちのことを思い出したようだ。たちの姿を下から上へと視線を移していく。なんかエロいぞ、その目。
「月の世界へは人の子は一度しか来ることができないと言われているのだが・・・不思議なこともあるものだ。では今回は何の願いがあるのだ?」 「えっと、あの・・・荒野に眠っている古代船を蘇らせたいんですけど・・・」 イシュマウリはわかりましたと頷くと、ハープを奏で出した。
だが、途中でハープの弦はブチ、と切れてしまった。
「・・・弦が・・・」
「ヘチマウリ格好良く決めたのに残念でがすなあ。ゲースゲスゲス!」 「・・・・・・」
ヤンガスがのんきに、否。変な声で笑っている背後で、ヘチマウリことイシュマウリはヤンガスをもう表現できないくらいの顔で睨んでいる。怖い、怖いよ!
「願いが大きすぎてこのハープでも耐えられなかったようです・・・。何か代わりの物が必要ですね」 「代わりの物?楽器なら何でもいいんですか?」 「そうですね、何か音を奏でるものを」
着々と話が進んでいくが、一つだけわからないもの、それは。
「実はある場所がわからないんですよ」
「・・・ん?え?今何と?」 「いや、だから場所がわからないんです。その音を奏でるものが」 「・・・・な、なーーーーーーーーーにーーーーーーーー!?やっちまったな!!!!!」
は古いギャグをかましながら絶叫する。
「それは一番知っておきたい情報なのになぜ知らないんですくわああ!?」 「い、いえそんなこと申されてもわからないものはわからないんですよ」
アッサリと答えるイシュマウリに、本気でヘチマウリを投げてやろうかと思ったマイネームイズです。
「ですがどうやら確かに言えることは、あなた方が旅で歩んできた道の中にあるはずです」
「私たちが今まで来たみちぃ・・・?」 「そう考えたらかなり絞られてくるわよね!」
じゃあ早速行こうと一刻も早く部屋を出ようとするゼシカを、イシュマウリは止める。
「あ、待ってください。トラペッタの占い師に占ってもらえば何かわかるかもしれません。ハープが手に入ったらまた私のもとへ来てくださいね」
「へー、ここがたちが初めて訪れた町なのか」
「そうでげす!アッシと兄貴のラブメモリーが詰まった町でげす!」 「そうなのか、」 「違うよ!誤解するようなこと言わないでよヤンガス!」
トラペッタへルーラした一行は、まっすぐにルイネロのいる家へと向かう。あの後どうなったのだろうか。ちゃんと占いは続けているのだろうか・・・。
不安ながらもたちは、ルイネロの家のドアを開けた。
開けてすぐに薄暗い部屋。最初は何も見えなかったが、段々暗さに目が慣れると、光り輝く水晶が目に入った。そして水晶の向こう側に座る、アフロヘアのルイネロさん。
「・・・おお、お主らか。またいつか来いと言った約束、覚えてくれていたのだな」 そんな約束してたっけと記憶を辿るだが、したようなしてないような変な感じだ。 「あ、さん!お久しぶりですね。お仲間も増えたようで・・・がんばってくださいね」 必死でにラブコールを送るユリマに、の内心は少々あせり気味だが、ユリマが不安そうに見つめるのはゼシカだった。 ・・・そうですよね、私なんか眼中にないですよねええ! 「あの「何、用件は言わないでいい。わしはお主らが何を占いたいのかもわかるのじゃ。では始めるぞ」 すげー進歩してんじゃないかと思っていると、ルイネロは目をつむり、水晶に手を掲げた。水晶は今まで見てきた光よりも更に光を放つ。 「うぬー・・・何か若い王のような身なりをしたやつが見えるぞ」 「若い王?って言えば・・・」
「アスカンタ?」
のその一言で、みんなは顔を見合わせる。そして頷く。
「ありがとうございましたルイネロさん!」 「なんだ、もうわかったか?気をつけるんじゃぞ」
とりあえずアスカンタにルーラすると、初めてここに来たときとは全然違う城の雰囲気。武器屋や道具屋などの看板は、以前のボロボロな具合とは比べると綺麗に磨かれている。 「ここもだいぶ変わったわね。私たちがいなかったらずっとあのままだったのかもよね」 ゼシカがそういうと、はふとあの時のことを思い出した。死んだシセル王妃が、王の前に幻想の映像となって現れたことを。 「そっか・・・私たちがいなかったら・・・」 「え?何か言った?」 「ううん、屁こきました」 「え!?嘘でしょ!?」 「嘘に決まってます!」
「ああ!みなさん、お久しぶりですね!本当にあの時はありがとうございました・・・!」
パヴァン王は泣いている時しかいなかった王座の椅子に、今は堂々と座っていた。どこから見ても、ちゃんとした王様だ。穏やかな表情をした、若い王様。
「久しぶりですね、王様。実は頼みがあって来たんですけど・・・」 「頼みですか?仮がありますからね、何でも聞きますよ!」
そう言ってくれたのだから、こちらとしても言いやすい。は、イシュマウリに言われたことを聞いた。
「この国に、音を奏でるものはありませんか?」
「音を奏でるもの・・・ですか?・・・・・・あ!そういえば・・・着いてきてください!」
パヴァン王は思い出したように目を見開くと、下の階へと降りて行った。
「このブローチを・・・よっと」
一番下の階まで降りて、噴水の中に王の証とされるブローチを入れる。すると噴水の水が溜まる場所に穴が出来て、そこから水が抜けていく。数秒後には水が全てなくなった。
「実はこのブローチで宝物庫が開く仕組みになってるんです。これは秘密ですよ。では来てください」
パヴァン王はそういうと、先に地下へと続くはしごを降りていく。その後をたちは着いていった。
地下に降りるともうひとつドアがある。パヴァンはそのドアの鍵を外すと、宝物庫の中に入って行った。
「確かこの城には月影のハープという、代々城に伝わる代物があると聞いて・・・ああ!?」 宝物庫の中を確かめると、何個かある宝物の中身が全て抜き取られていた。 「盗まれた!?もしやあの穴・・・モグラか?」 いつも穏やかな王だったが、今回ばかりは動揺している。 宝物庫の一部には、大きく穴が開いていた。おそらくモグラなのだろう。
「い、今すぐうちの兵を出動させて取り戻します!待っててください!」
パヴァン王はそういうと急いで上の階へと戻って行った。悲惨なことばかり起こる王様だな。
「穴が開あけて帰るなんでバカな盗賊よね。この後を追って行けばいい話じゃない。私たちで行きましょうよ」 「でも王様が出動してくれるって言ってるし・・・とりあえず明日まで待とうよ」 「・・・そうね。じゃあ宿に泊まりましょう。もう疲れたわ」
ゼシカは大きく伸びをして、宿へと向かった。
翌日。昼まで待っても一行に出動しないアスカンタの兵。そもそもその月影のハープとやらがどれだけ大事なものかが兵には全くわからない。しかも出動会議とか言うので全然出動する気配はない。中にはちゃんと会議より実戦だと言うやつもいるが。
・・・いや、会議も大事だがもうちょっと手短に済ませてくれないものかと、トロデーン近衛兵のは思った。
「もう行きましょうよ!待ってらんないわ!」
「そうだな、待ってても何も変わらねえぜ」
初めてククールとゼシカの意見が一致。
「・・・わかった。行こう」
こうして、モグラ盗賊の追跡が始まったのです。
「私 横幅でかいんだけど モグラが通った道なんて通れるかな?」 そんな心配をするであった。
あとがき みなさんの発言がなんだかおかしいです 2008.11.22 UP |