喪服をかぶったお城
トロデはそういうと、城の入り口の横に馬車を止めた。
外は、の世界で言えば秋の5時くらいといったところだ。 そんな時に次の街・・・いや、城を見つけた。 「とりあえず入ろう。早くしないと夜になるから、人もいなくなっちゃうし」
城に入るまでは、コンクリートの緩い坂道があるのだが、城に入るまで、ゼシカたちはそう話す。
城に入ると、確かに人が全然いなかった。所々に人がポツポツといる。
「うわわ、この城の人たち寝るの早っ!!」 が指差す方向は、城の真上に突き出す塔のような建物。その頂上から、黒幕が掛かっている。
「ああいうものが掛かってるってことは、国王とか王妃が死んだときに使うんだ。
は少し考え込むようにして、みんなに伝える。
「さすが元近衛兵ね、よくわかってるわ」
よく見れば、店たちも全て閉まっている。城下町にいたおばあさんに事情を聞くことにした。
「2年前に王妃シセル様がお亡くなりになったんじゃよ。それで国王さまがずっと心を閉ざしておるのじゃ。
おばあさんは悲しそうな顔をして、話をしてくれた。 「(うわーーっ!お城っていったら日本だと和風のやつだもんなあ・・・!
少し鼻息を荒くしながら、は皆と城に入っていくのだった。 「うわー噴水!すご!ちょ、なんで階段が二つもあんの!どっちから行っても同じだろーに!」
興奮しまくるの口を、ククールが塞ぐ。 「お前なあ、さっき聞いたろ。喪に服してんだこの国は。ちょっとは静かにしたらどーだ」
ヘヘヘとは頭を掻く。 話を聞きながら城の中を回るが、誰もドルマゲスのことなんて知らなかった。ついに屋上まで来てしまった。
「あの人が・・・王様?」
ククールがゼシカの肩に手を回して言う。ゼシカは即座にククールの手を抓り上げた。
「王様」
たちのいる階段の後ろから、髪の毛を高いところで一つに結んだ金髪の、小間使いが現れた。 「パヴァン王様。お食事の時間です」
少女は何も言わない王に話しかけるのをやめた。 たちは少女の後を追いかけるために、階段を降りた。
「あの!」
少女は振り返ると、そう言った。
「えと・・・その・・・王様は最近何も食べてないのですか?」
少女は下を俯いて、今にも泣き出してしまいそうな声で話す。きっと王様のことを大切にしているのだろう。
少女は振り返ると、キッチンのある部屋へと行ってしまった。
夜になってから、もう一度たちは城にある、王座の間へ急いだ。 「・・・・・・・・・」
ただ沈黙が流れた。いても立ってもいられなくて、皆はその場を後にした。
「やはり、王様は泣いておられましたか?」
少女は、城を出ようとしたたちを、引き止めた。その言葉に、はうなずく。 「やっぱり・・・。早く何とかしてあげたい・・・王様が立ち直れるように。
はその話を聞いて、あることを思いついた。
「あの、そのおとぎ話、知ってるかぎりでいいので教えてくれませんか?」
の目は真剣だった。心の優しいだから、国を助けたいと思ったのだろう。 「ありがとうございます!私のおばあちゃんの家は、ここに来る途中にある教会の近くなんです!」
ゼシカがその話を聞いて、ひとつ閃いた。確か、教会の手前にある民家。
「わかりました。みんな、今日は遅いから明日行ってみよう。今日の月の満ち欠けなら、明日くらいは満月なんじゃないかな」
はにっこり笑った。
次の日、相変わらず暗いこの国を、ルーラでたちは、あの川沿いの教会へ行く。 民家のドアをノックして入ると、テーブルの回りに旅をしていると思われる兵士が2人ほど座っていた。
「あの・・・」
どうやらあの小間使いの少女はキラというらしい。 「私の家を裏側にまわったら、川沿いへ出れる道があるのよ。そこからずっと行けば、洞窟があったりするの。
ドゴォ!と音を立てて、5人は椅子から転げ落ちた。本に書いてるって!あんさんが知ってる情報じゃないんかい!
「あらまあ吉本○喜劇みたいなことして・・・」
うっひゃ知ってたよこのばあちゃん!!一体何なんだこの世界・・・。
「あ、ありがとうございます。みんな、行こう」
は苦笑いといった感じで、みんなを外へ促せた。
「にしてもさっきのばあちゃん面白かったでがすなあ!天然っていうか・・・」
次々と襲ってくる強敵な魔物を、たちは苦戦しながらも倒して行く。
ゼシカはニッコリと、ククールに笑いかける。悪かったよとククールは謝る。
「暗くなってきたね。早く登らないと、夜が終わっちゃうかな」
が心配になってきたころ、頂上についた。
「なんだここ」
そういうとゼシカは、落ちている岩に腰を下ろした。
は、窓枠の近くに寄った。窓枠には草が巻きついている。
時々空を見上げる。月が、近くに見える。もちろん星も。
「、何してるの?」 が話しかけてきたので、は一瞬を見て、また視線を空に戻した。 「確かに綺麗だよね。月がめちゃくちゃ近くに見えるし」
は手をグーにして、段々積み上げていったりとか、周りを見回したりする。 月が真上に来た。けど、何も起きない。
「なんだよ、なーんも起きねえじゃねえか。やっぱ婆さんを俺はうら「ひもなしバンジージャンプまで5秒前」
ゼシカはククールを頂上の丘の際まで押す。「ヤメレ!」とククールは泣き叫ぶ。
「「ん?」」
ゼシカとの目に入ったもの・・・それは。 窓枠の影が、向かい側にあった崩れている壁に、扉のように映し出されていた。
「みんな、ここ!」
がはしゃぎながら、その扉のような場所に近づく。
「何かありそうだね」
んーと悩む以外の4人を後ろに、は影に触れた。 「「「「「!?」」」」」
影は、扉のように真ん中で開いた。 扉の中は、本当に神秘的な世界だった。
「あそこの家に誰か住んでるんでがすかね」
そらそーだ。満月の月の時しか現れないこの世界に住む住人とは・・・。
「まあでもロマンチックな場所よね。まるで絵本の中に入り込んできたみたい」
いやあんたはゲームの世界の人ですから!!!
「とりあえず、あの家の中に行ってみよう。その人が願いを叶えてくれる人かもしれないし」
見えない通路は落ちるわけないのに少々怯えながらも、5人は家へと足を運ぶのだった。
あとがき 2008.10.13 UP |