バカリスマのお話
「ふえ〜・・・まだ次の街までどれくらいあるの、?」 あー、姫様の背中に乗って走りたい。てか走れ姫、馬なんだから。
「ほんと役立たずね・・・。ルーラいつ唱えてくれるかと思ってたのに」
仲間に加わったククールは、次の街まで行ったことがないと言う。
「なんかこうね・・・あんたみたいなヤツにピッタリな言葉があるのよ」
ゼシカは腕を組みながらククールを見る。
「バカリスマ」
「おまっ・・・それバカでけなされてんのか、カリスマで褒められてんのかわかんねーんだけど」
「もちろん、けなしてるわ」
うっ、とククールの顔がひきつる。ゼシカは思い出してスッキリしている。
「もう2人とも、これからはお互い助け合ってく身なんだから仲良くしなよ?」
「いや、兄貴。あの2人はああ見えて楽しんでるでがす。まあ喧嘩するほど仲が良いって感じでがすよ」
「そーだよ、あれでいいんだよ。まあ喧嘩なのかは怪しいとこだけど。イチャついてるようにしか見えないかも」 3人は微笑ましく見ていた。
「あ、あれが地図に載ってる建物かな」
外はどっぷりと暗くなり、魔物も多少強くなって来てヘロヘロな時だった。
「橋の前のは民家かしらね。向こうは教会じゃない?」
ゼシカが民家と思われる家と、教会っぽい建物を見比べる。
「教会なら泊めてくれるんじゃねえか?そろそろ体力も限界だし、頼むだけ頼んでみようぜ」
「そうだね、行ってみよ」
5人と2匹は駆け足で、教会へと足を運んだ。
「くあーっ、俺たち運いいよなー。まさかなんか記念日とかでタダなんだもんな」
「そういうこと大声で言わないでよね、バカリスマ」
「・・・おいおいゼシカ、一応俺にだって名前あるんだからよ。バカリスマじゃなくてククールって呼んでくれよな」
「気が向いたらね」
ダメだこりゃ、と言った顔でククールはため息をつく。
満月の月が、真っ暗な夜の草原を照らす。
夜はちょっと冷える。はベッドから起き上がり、ハンガーに掛けてあるカーディガンを羽織ろうとした。 「、ヤンガス、ゼシカはいるってことは・・・ククール?」 辺りを見回すが、いない。教会の礼拝席にでもいるのかと思ったが、シスターと神父しかいない。
「あのー、ここに赤い服の、銀髪で長髪の男の人が通りませんでしたか?」
「あら、さっき教会から出て行きましたよ」
快くシスターは教えてくれた。はありがとうございますと礼をして、外に出て行った。 扉を開けてすぐに、道を挟んで向こう側に、赤い服をきた男を見つけた。
は以外な組み合わせにちょっと噴き出しそうだった。 「姫様・・・あの2人何話してるんだろうねー」
「ヒヒ・・・(さあ・・・)」
「ククールが王様に心開けるなんて、なんか以外だね。結構ガードしてそうなのに」
は2人をチラ、と見て少し笑った。
「トロデ王ってさ、結構和むんだよね。一緒にいて。だからククールも今、心の内を言ってるのかもね」
「ヒン?(そうなの?)」
「うん。なんでだろうね。気持ちが暖かくなるって感じかな」
「ヒヒ・・・ヒヒン(そう・・・私にはわからないわ)」
あれ、私なんで姫様の言うことわかるんだろというと、ミーティアはブルブルと首を振った。 「あれ、じゃねえか。どしたんだこんなとこで姫とオシャベリか?」 「おお、ほんとじゃ・・・ふあああああああワシャ寝るぞ」
トロデはあくびの後一息つくことなく寝る宣言をして、馬車の中に入って行った。
「・・・何話してたの?王様と」
「ん、まあちょっとな」
はしゃがんだままククールを見上げて話していたのだが、また姫様の頭を撫でて俯きながら、話を続ける。
「何、なんかあったか?」
「・・・別に。ククールって王様にはしゃべれるんだなーって思って。心和むとは私も思ってるけど・・・さ?」
ククールはちょっとキョトンとした顔で、を見る。相変わらずはしゃがんで俯いている。 「それってヤキモチか?」
「はひ!?何言ってますのか!!私にはスキな人がはーーー!」
「ん?だろ?」 の顔がボッ!と真っ赤になる。ククールはニヤニヤと笑う。
「やっぱりなー。見た時からそう思ったよ」
「そ、それゼシカにも言われたよ〜・・・。何、それってみんな気付いてるの?」
「ああ、たぶんヤンガスもな。気付いてないのだけだぜ?」 サーッとの顔が青くなる。赤くなったり青くなったり、どうしたものか。 「ゼ、ゼシカという女の子だけの秘密の話なのに!」
「んなの知らねえよ。まあ本人気付いてないんならいいんじゃねえか?」
「良くないよんなもん!もしに誰かが告げ口したらどうしようとか考えるじゃん!」 「んな性の悪いことするやついねーだろ。はいい奴なんだからさ」 プーと頬を膨らます。ククールはの頭をポンポンと撫でる。 「トロデ王に話してたのは、俺が初めて修道院に行った時のことだよ。それと兄貴と仲の悪い理由」
「・・・簡単でいいから教えて!」
「・・・しゃーねーなー」
ククールは教会の裏に回って、壁にもたれかかる。もその横に座る。 「寒・・・あれ、がいないわ。・・・後バカリスマ」 ゼシカもと同じように目覚め、心配して外に出る。 「俺の父さんは、母さんと子供産もうとしたんだけど、俺がなかなか出来なくてさ。
まあマルチェロとは言えば異母兄弟って訳だな。それで俺は兄貴に恨まれてるってわけだ。
ククールの長話を、は時々ククールの顔をみて、また顔を下げてと繰り返して話を聞いていた。 「俺は少ねー荷物持って、右も左もわかんねえ状態で修道院を彷徨ってた。知ってる奴だっていない。
「君、どうしたの?親は?
「・・・お父さんもお母さんも・・・死んじゃったから・・・ここに来たんだ・・・」
「そっか。僕も似たようなものだよ。でもここではオディロ院長が親になってくれる、大丈夫だよ」
「う、うん・・・!」
ククールは寂しそうな表情から、笑顔に変わった。
「オディロ院長の場所まで連れて行くよ、名前は?」
「ククール」
その瞬間、マルチェロの顔つきが変わった。
「『お前は俺の居場所をまた奪うつもりか』って言われたぜ。何のことかわからなくてさ。
ククールはちょっと寂しい笑顔でに笑いかけた。 「そっか・・・そんなイヤな思いを・・・」
「ん、まあ別に寂しかったとかはなかったけどさ」
乾いた声で静かに笑い声をあげるククール。
「お、もう朝じゃねえか。話こんじまったな。そろそろ帰ろうぜ、。」 「そうだね。ごめんね、そんなつらい話を2回もさせちゃって。寒いのに・・・」
「別にいいよ。それで同情して俺に気持ち向いてくれれば「あ、ごめんそれは絶対ない」
そのの言葉に必死にゼシカは笑いをこらえて、教会へ急ぎ足で戻って行った。 「何、3人とも目の下クマ作って。大丈夫?」
「だーいじょぶだよー。」 気力ない声では手を横にブンブン振る。でも目はめちゃくちゃ眠そう。 「なんだよゼシカまでクマ作ってるなんて。眠れなかったのか?」
「・・・寒くて寝れなかっただけよ。私冷え症だから」
とても昨日ククールとの話を聞いていただなんて言えなくて、とっさに冷え症だなんて嘘をつく。 「ククール」
「えっ!ゼシカ、今俺のこと・・・」
「何よ?」
「いっつもバカリスマって言ってたのに、どういう風の吹き回しだよ」
「どういうって・・・こういう風の吹き回しよ」
そういうとゼシカはにバギを唱えてもらう。
「べ、別に。たまにはボケたいわよ」
「いやいやボケたいって何ソレ!お前はツッコミっていうイメージが頭の中で作り上げられてるのにぶち壊しじゃねえか!」
ククールはマジで驚いている。
「いいでしょ、別に。ククールには関係ないじゃない、勝手にイメージ作り上げないでよね」
「ほら、またククールって呼んだ。どうしたんだよ」
「・・・何にもないわよ。ただ気が向いただけだもん!」
フン、とゼシカはククールの隣にいたのに、追い越していった。
あとがき 今思ったけど、私のかく小説ってヤンガス存在感薄い・・・(酷 2008.10.12 UP |