船の中のストーリー
「ねえ、一緒に旅しない?」 巨乳・・・じゃなくてゼシカがそう誘ったのは、ポルトリンクの船着き場だった。 「目的も一緒なんでしょ?だったら人数も多い方が心強いもの。あ、私はここにいるから、準備ができたらまたここに来てくれる?」
魔物退治も無事に終わり、一旦ポルトリンクへと引き返した船。帰って来た時には、街は喜びに満ち溢れていた。
「これでやっと・・・やっと家に帰れる!ありがとうさん!!」 街に来た時に話したあの男の人が、の手を両手で握りブンブン振り回した。 「い、いや・・・私のおかげだけじゃないですよ・・・! それに魔物にとどめを刺したのはだし・・・(そしてなぜこの人は私の名前を知っている・・・!?)」 はそんなことを思いながら、の方を、手の平で指し示す。
「いえ!あなたは英雄です!!私の永遠のアイドルです!!」 「・・・いい加減にしてくれるかなあ・・・そこの人・・・」 がゆらりと現れ、と男が繋いでいる手をチョップで振りほどいた。
「この世に生まれてきてごめんなさい」 男は即座に土下座し、そんなに怯えて、そそくさと早足で逃げて行った。
「ふふっ・・・、ありがとね」 「えっ?!ぼ・・・僕は何にもしてないよ!?」 「えー?チョップで繋いでた 手振りほどいたのはどこの誰だっけー?」 「うっ、 うるさいよっ!」
「青い・・・春でがすね」 そんな兄貴とその女の気持ちが通じ合わない二人を、人生の先輩ヤンガスが遠い目で見ていた。
「あ、準備できたの?」 「はい、装備もバッチリです!」 「あら、敬語なんて使わないでよ。これからは仲間なんだから!」 ゼシカはにっこり笑った。そう年も変わらないのに大人だな、と思っただった。
「じゃあ船を出して!」 「いえっさー! !」 船乗りが敬礼して、船内に入り込む。
「じゃ、私たちも行きましょ」 そう言ってゼシカが カモン★ という感じで(違) 手を少し顔の横で振った。
「碇をあげろーっ」 そんな元気な声とともに、船はたちを新しい地へと踏み込ませた。
「なんだか胸がドキドキするわ」 とゼシカが言うので、はゼシカの胸部分を凝視した。本当にゼシカの胸がなんだかドキドキしているのか、確かめたのである。←
「えーっと・・・あなたの名前は・・・」 「あっ、です!普通にって呼んでね〜」 「私のことはもう知ってると思うけど・・・ゼシカよ。これからよろしくね」 やっぱり、大人だな〜。と思うだった。
「あら、あんなトコでもっさい男二人が話してるわよ?」 「え?」 ゼシカが指差した方向を見ると、二つあるタルの上に腰掛けて、とヤンガスが何かを話しているようだった。
「はもさくないもん可愛いもん!・・・ヤ、ヤンガスは知らないけど・・・」 「ふふ、ってば結構毒舌なのね・・・。まあ惚れてる男にはそんなこと言ったら許せないか」 「惚れっ・・・!?」 「初めて見た時から思ってたけど、バレバレよ」 「え、そうなんスか・・・!?」 が慌てふためいて、頭を抱えた。そんなを引きずって、とヤンガスの前に連れて来て、ゼシカは質問した。
「ねえねえ、あなたたち二人の関係って何なの?どう考えても兄貴って呼ぶ方が反対じゃない?」 「失礼でがすねっ!・・・アッシがこう呼ぶのにも理由があるんでがすよ!!」 やはりまた遠い目で、話を続けるヤンガス。 「まだ山賊から足を洗ったばっかりで、金はないし、この顔のせいで怖がられて働くことはできないし・・・。仕方なく橋の上を縄張りにして、そこを通るやつに金をもらおうとしてたんでがすよ」 「あらっ!ヤンガスそんな悪いことしてたのね!」 はおばさん口調でヤンガスの背中をバシバシ叩く。
「その時に丁度、橋の上に兄貴たち一行が来たんでげす。アッシは兄貴を襲った・・・まあ、つまりは金をくれと物乞いしたんでがすが、兄貴にはあっさり負けちまったでがす」 思いだし泣きというのだろうか、ヤンガスの瞳からはキラリと涙が輝いた。男の涙!
「アッシが兄貴率いるトロデのおっさん、馬姫様を襲ったのは、今にも壊れそうな吊り橋の上だったでげす。アッシの体重の重さのせいで、吊り橋は壊れたでげす」 「あらら・・・」 ゼシカが少し笑った。ヤンガスの体重のせい・・・という所で笑ったのだろうか。
「そこで川に落ちそうなアッシを兄貴は助けてくれたでげす。アッシは襲ったっていうのに・・・」 「へーっ!ってば、やるじゃない」 「え・・・そ、そうかなあ・・・」 に褒められて、ちょっと嬉しそうな。
「ふーん・・・で、それだけなの?」 「んな!?何を言うでげすかゼシカ!他にもたーくさん男の話が・・・」 「あーもういいわよ。長いお話ありがとうございましたっ!あ、あとそれと・・・」 「「「?」」」
三人が頭に疑問符を浮かべた。 「あの時勘違いしたこと・・・まだ謝ってなかったわよね。・・・・・・・・・すんませんしたーっ!!」 手を空手の引きのようにして、頭を下げ、謝罪の言葉をゼシカは告げた。 「えへへ・・・じゃあね!」 ちょっぴり照れくさそうに舌を出し、ゼシカは向きを変えてどこかへ行った。
「あはは、なんか女の子なのにすごかったね、ゼシカ!じゃあ・・・ちょっと僕は王様の場所行ってくるよ」 「トロデ王はどこにいるの?」 「たしか船長室の中。じゃあ行くね!」 はそう言うと、船長室に向かった。 「あ、あたしも行く!」 その後をすぐがついて行く。一人取り残された人生の先輩ヤンガスはというと。 「青い・・・春でがすね・・・」 と、また遠い目で二人を見つめていた。
ギシギシと、船長室へ続く木造の廊下は、たちが歩くたびに音を立てている。途中に姫(白馬)がいた。その近くで、現在にベタボレ中のあの男が、またしても姫に 「きれいな馬だ!」 と連呼しながら見つめていた。そして通りかかったに 「また会えましたね!」 と喜びを表したが
、隣りにいたに睨まれて土下座して「この世に生を授かってごめんなさい」と言った。
「はあー・・・何この緑の魔物・・・。人の部屋でくつろいじゃって・・・」 「お、、ー!!」 船長らしき男が溜め息をついているのにも関わらず、トロデは思いっきりくつろいでいる上に、何か奇妙な入れ物が机のほとんどの割合を占めている。
「王、その釜みたいなモノは・・・?」 「お?ふむ、やはり気になったじゃろう !これはじゃな〜・・・ななななんと錬金釜じゃ!」 「錬・・・金釜?」 聞いたことのない釜の名前に、とは首をかしげた。どうやら船長は知っているようで、トロデのその言葉に少し目を見開いて飛び上がった。トロデが得意気 にフフンと鼻息を鳴らし、説明に入った。
「例えばじゃが薬草と薬草をこの錬金釜に入れて錬金すると、上薬草というアイテムに強化することができるんじゃ!物と物をこの釜に入れるだけで違うアイテムが生み出せる。まあ薬草のように全てがパワーアッブするとは限らんがな」 その錬金釜とかいう奇妙な釜を、トロデは撫でたり叩いたりしている。
「これは昔から城にあったものなんじゃ。こっそり持ち出してきたんじゃが壊れとっての・・・。それをわしが夜な夜な治して、やっと完成したんじゃ!苦労したわい・・・」 トロデがやれやれという顔をしたり、得意気な顔をしたり・・・と、百面相という感じである。
「そういえば宿屋で寝てたら、よく王様が馬車の中で何かを作っている夢を何度も見ました」 「なぬ!?・・・わし・・・夢にも出るほどに愛されておるんじゃな☆」 「いや、ちょっと間違ってる気もするんですが王様」 が一瞬、ちょっと嫌そうな顔をした気がした。いやいや主君でしょ一応。
「あ・・・ありがとうございます王・・・!」
「さっきの・・・なんかすごかったね」 「はは・・・ま、まあ王の気持ちに応えなきゃね」 ガチャ、と船の中からドアを開けた。心地よい海の風が体を走り抜けた。
「「あ・・・」」 ドアを開けたすぐそこには、ヤンガスとゼシカが立っていた。 「へへ、お待たせ!」
がめいっぱい笑うと、他の三人も笑った。 これで仲間が揃った!と、まだバカリスマ一人忘れていることには気付いてない。
旅はまだまだ、始まったばかり。
あとがき それでは次の小説でまた会いましょう(・∀・) 2008.08.15 UP |