ジーザス地方


朝。鳥の鳴き声が外から聞こえる。昨日に6時起床と言われたが、目覚ましが鳴る10分前に、は目が覚めてしまった。   支度をして部屋から出て、集まるようにと言われた宿屋にあるバイキングのレストランに行った。そこにはすさまじい勢いで何かを食べる巨体、ヤンガスが。朝早い為人は2、3人しかいなかったが、全員がヤンガスのその食べるものすごい早さに、今にも目が飛び出そうな顔で見ていた。
は恐る恐る近付いていく。
    「や・・・ヤンガス?」

「あぁん・・・?って何だ、でげすか!びっくりしたでがすよ〜!」

一瞬ガンを飛ばされた。(元山賊のクセなのか・・・!?)
だが
の顔を見て、口の回りに食べ物のカスをたくさん付けているヤンガスは、ににっこりと笑いかけた。  

「ヤンガスってば起きるの早いね!早起きは得意なの?」

「うーん・・・そうかもでげす。山賊だった時によくゲルダと待ち合わせしていたでがすからね・・・」

「ゲルダ?誰?」

「まあ・・・アッシの幼馴染みで親分って感じでがすよ!女だけどな」

ヤンガスは少し遠い目をして思い出にふけっているようだった。どういう関係なのかわからなかったが、ちょっと関係が怪しい。

 

「ふーん。そうなんだ・・・なんか意外だなあ・・・。あ!だ!」

「兄貴ぃぃぃ!!!!」

があくびをしながら、レストランのに入って来た。

「みんな早くない・・・?ふぁぁ・・・」

「相変わらず兄貴はネボスケでがすなあ!シャキっとしてくだせえ!ほれっ!!」

ヤンガスは勢いつけて、の背中を叩いた。

「ごふっ!?」

は一瞬、見ていられないくらいのおかしな顔をした。その後ヤンガスにどつかれた場所を痛そうに押さえていた。  「いたたたた・・・。ヤンガス・・・ってば・・・。てそうじゃなくて、早く食べて行かないと王様に怒られるんだよ」

「あ!そうだったね!早く食べなきゃ。また違う地方にいくんだもんね」

「食べるでがすーっ!」

まだ食べんのかよ、とは思った。

 

 

 

 

 

 

朝食を食べ終わり、部屋の鍵をフロントへ返した。朝食の残りはトロデ王たちの朝食になる。ちゃんと持って、色々あったトラペッタの町を出た。

 

「お、来よったな」

そう言うとトロデはア○レちゃん走りで近寄ってきた。

「(さ、さすが同じ作者!!ゴッド★TORIYAMA!!)」 は心の中で感動していた。     「待っとったぞ!早く飯をくれんか?」

「あ、はい王様」

  そう言うとは、トロデとミーティアの朝食が入った袋を渡した。
王様という方が、今こうやって袋の中にある食べ物を必死で食べる姿が、不憫でならなかった。
    「じゃあ早速行くとしようではないか!そのジーザスとか言う地方にな!」

「王様、リーザスですよ」

はトロデの間違いに突っ込んだ。なんかこのパーティーってツッコミがしかいない気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

足を進ませると、ルイネロの言う南の関所についた。門はぐにゃぐにゃに潰され、門番のいる気配は全くもってない。

「・・・本当にルイネロさんの言うとおりだったね」

「きっとこんな風に門を壊したりしたのは、ドルマゲスだよ」

「・・・行きやしょうや兄貴」

そのヤンガスの言葉の通り、一行は今にも崩れ落ちそうな川の上にかかる関所を通った。

 

通った後からは、魔物が強くなった。地方が変わったという証なのだろうか。次々と襲ってくる魔物を倒しながら歩き続けると、緑に囲まれたひとつの村を見つけた。

「ここがリーザス村?」

は村の前にかかる木のアーチに刻まれた村名を読み上げた。

 

「それじゃあわしはここで待っておるぞ。ちゃっちゃと情報収集してこんかい」

「はい、わかりました。お気をつけてください、王様」

たちはトロデに向かって礼をして、村に入っていった。
            「覚悟!!!!」

「ほえ?!」 

目の前にかっちょいい兜をかぶる男の子と・・・鍋をかぶる少年2人が出迎えて・・・いや、戦いを挑んできた。

「お前たち、こんなときに来るなんて盗賊だろ!?そーだろそーなんだろ!?

「いやそんな勝手に決めつけないでくださいッ!こんなときって意味わかりません!タイミング悪くてすみません!だからちょっと待ってェェェ!!」

  今にも少年たち2人は、武器・剣と・・・ただの棒?らしきものを使って3人に殴りかかろうとする。
村に
の声が響きわたった。時だった。       ボカッボゴッ!   「あんたらやめんかい!」 呆気にとられる3人。どうやら村の住人のおばあちゃんが助けてくださったようだ。にしても兜と鍋を殴るのは、さすがに手が痛かったんでは・・・?

 

「この人らは何の変哲もない(?)旅人じゃよ!ちゃんと見なされ!」

「「だって〜っ」」

「だってもさってもごぼうもないじゃろ!・・・全く。あんたらゼシカお嬢様に何か頼まれとったんとちゃうんか?さっさと自分の役目に付き!遊んどらんと!」

「あ!いけね、忘れてた。行くぞ、マルク」

「がってん!」

この世界では、だってもさってもごぼうが流行っているのだろうか?そしてなぜか関西弁のおばあさんに、たちはお礼を言う。

 

「あ、あの、助けてくださってありがとうございました・・・!」

「・・・ん?ああ、ええんじゃよ。あの子らはポルクとマルク言うてなあ、村一番のおてんばなガキじゃ。許したってくれなぁ」

「でも盗賊って・・・どうかされたんですか?そんなに警戒するようなことが・・・」

は少し怪訝そうに聞いた。
「ああ。つい最近盗賊にまつわる事件が起こってしまったんじゃよ。そのせいでのどかじゃった村も今では・・・。・・・すまんな、悲しくて言えんわい。それは気にせんと、この村はいい村じゃよ。ゆっくりしていきなさい。村に来たなら、そこのでっかいお屋敷に住んでいる村長さんのアローザ様にも挨拶して行きなさいね」

そう言うとおばあさんは少し悲しげな表情で、振り返ろうとした。

「あ、あの!すいません、おばあさんはドルマゲスという道化師の姿を見るとか・・・聞いたことはありませんか?」

が話を続けようとした。

「・・・はて、ドルマゲスとな。聞いたことないのお。すまんねえ」

これを最後に、おばあさんは村のどこかへと歩いていってしまった。

 

 

「うーん・・・。とりあえず村を回って情報収集して、あのお屋敷の前で待ち合わせ。三手に別れて探そう」

たちは三手に別れて、村中の人々にドルマゲスのことを聞いて回った。屋敷の前で集合して結果を聞いても、聞いたことのある人はいなかった。

 

 

「じゃあ残りはこのお屋敷だね。村長さんに挨拶って何言えばいいんだろ?」

「んー・・・ドルマゲスのこと聞けばいいんじゃない?」

「そうだね!」

お屋敷の中はかなり暗い雰囲気だった。兵は1人しかいないという、あまり厳重な警備ではない。

 

「あのー・・・ドルマゲスという道化師のことは知りませんか?」

「いえ、知りませんが・・・。私はまだまだ新米なもので、この村の状況とかわからないんですよ。見ての通り、兵は僕しかいなくて僕を雇うのも初めてとか・・・もう寂しくてさみしくてっ」

「へ、へえ・・・。どうして今まで雇っていなかったんですか?」

「どうもこの村にいたサーベルト坊ちゃまが村を警備していたんだそうですが・・・。最近お亡くなりになられたんだとかで」

その事実を聞いて、たちが飛び上がった。 「それって、病気ですか?」

「え、殺されたそうですけど・・・」

「誰に!?」

「いえ、殺された現場には誰もいなかったものですから・・・わかりません。でもご遺体には、何か杖で刺されたような跡はありましたが」

ポルクたちが言ってた盗賊。殺人事件。杖。もしかしたら、ドルマゲスかもしれない!!

 

たちは兵の後ろにある階段を上った。上ったすぐそこには女性と、メイドがいた。

 

「あら、旅人さんですか?ようこそ、リーザス村へ。私の名前はアローザ。この村の長ですわ」

「お出迎えありがとうございます。あの・・・少し聞きたいことがあるのですが・・・ドルマゲスという道化師を知りませんか?」

アローザと名乗る女性は、一瞬何かを思い出したように目を見開いたが、またすぐ元の顔に戻って話した。

「道化師の事は何も知らないわ。お役に立てなくてごめんなさいね。・・・言っておくけど、この村が今暗い雰囲気なのはお分かりね?・・・あまり長居しないほうがいいわよ」

そういうとアローザさんは、メイドと話し始めた

 

諦めた3人は、振り向くとすぐに、ある部屋の前にポルクとマルクがいるのが目に入った。おそらくあの部屋が、ゼシカお嬢様という方の部屋なのだろう。

 

「あのね、ポルクくんマルクくん。その部屋に行かせてもらえないかな?中にいる人に話が聞きたいんだけど」

おそらくサーベルトという人の妹か姉だろうから、何か知っているかもしれない。アローザはきっと母親なのだろうが、苦手なタイプだし。

  「やだよ。てかなんで名前知ってるんだよ!・・・ここはゼシカ姉ちゃんの部屋。アローザ様でさえ通すなと言っているのに、そうやすやすと旅人なんか入れてやるもんか!」

「にゃんじゃとぉ!?」

ルクとにらみ合いをしているに、エイトとヤンガスは少し慌てるような顔をしている。そんなとき、エイトの目にまだ行っていない部屋のドアがあることに気がついた。

  ・・・あ、あそこにもう一室部屋があるみたい。あそこに行ってみようよ」

「え?あ、ほんとだ。じゃぁねポルクマルク」

「呼び捨てにすんなーっ!!」

後ろでポルクが飛び跳ねている。この2人の空気をなんとかしようとしたが唯一見つけた部屋に行った。

 

「あれ?誰もいないのかな・・・」

部屋に入っても誰もいない。ほかには階段があり、ロフトっぽくなっている。上ってみると、一人メイドがいた。

「あのー・・・」

「ひえ!?・・・あ、旅人さんでしたか・・・。」

「どうかされたんですか?」

「ううっ・・・私の大っ嫌いなネズミがこの穴の向こうに・・・!ゼシカお嬢様の部屋につながっているのに!」

その時、の目がキラリと輝いた。

「ちょっとすみません!」

はそういうと、穴の向こうにトーポを突っ込んだ。 「トーポ、何か重要そうなものがあったら取ってきたりしてくれる?たとえば日記とか紙とか。」

「チッ!」

トーポは返事のような鳴き声を出してから、穴の中に入っていった。       しばらく立って、トーポが戻ってきた。口には何か、紙をくわえている。その紙を取り上げるようにして読んでみた。   誰がこの手紙を読んでいるのかわからないけど、もし私以外の誰かが読んでいるのなら・・・

この手紙は私の遺書だと思ってください。きっと今ごろ、私はこの世にいないでしょう。

私は東の塔に行きます。サーベルト兄さんのカタキを討つまで村には戻りません。

お母さん、家訓を破っちゃってごめんなさい。だけど、家訓よりももっと大事なことがあると思うの。

私は、自分の信じた道を行きます。こんな娘で本当にごめんなさい・・・。

あと ポルクとマルク。うそついちゃってゴメン。私のこと、許してね。

                                        ゼシカ
  「ゼシカさん・・・」

「大変だわ!はやく助けにいかないと!ア、アローザ様に見せなきゃ・・・」

メイドは焦ったようにそう言ったが、アローザさんはゼシカの許婚ラグサットと食事をしているようで会えなかった。仕方なくポルクとマルクに知らせた。

 

 

 

「なんだよ!そんなの嘘に決まって・・・。ってこれゼシカ姉ちゃんの字じゃんか!あわわわ・・・やばいぞ・・・。マルク!お前はアローザ様に気づかれないようにここを見張っといてくれ!俺はこいつらを塔につれてくよ!」

「がってん!」

 

2人は敬礼し合って、たちは東のリーザス像の塔へ向かった。

 

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あとがき
久しぶりの更新でっせー。←誰
やっとこさリーザスにたどり着きました。
次こっからスピードアップじゃ!!!

まじで最初ジーザスとかアーメンだと・・・←

それでは次の小説でまた会いましょう(・∀・)

2008.07.13  UP