ライスおっさん探し



トラペッタについたたちは、マスターライラスという人探しをトロデに頼まれ、は内心「ライスみたいな名前のおっさんだな〜」と思い、勝手に心の中で人探しの作戦(?)タイトルは『ライスおっさん探し』になっていた。

 

 

 

おかしいことに、町に入ると人々は少し警戒気味にこちらを見てくる。


「(あたしの格好おかしいかな?まあ学校制度なさそうな世界だし・・・。制服ってコスプ レにしか見えないのかも・・・)」


は気付いていなかった。自分の後ろに緑の魔物の風貌をした人間のおっ さんがいることに・・・!!

 

「それにしてもそのライスとかいうおっさんはドコにいるんでがしょ?」

「(ヤンガスさん!あたしと同じ考えだったのか!!)」

はヤンガスと同じ考えの為何だか嬉しかった。が、どこか悲しいような気もした。この気持ちは何だろう。

 

「ヤンガス、ライスさんじゃなくてライラスさんだよ!」

さりげなくが突っ込みを入れると、更にさりげなくトロデが話に加わった

「そうじゃヤンガス。罪はライスさんではなくドルマゲスじゃ!!名を誤るでない!」

「そういうおっさんも間違ってるでがす!!」

2人の目の間でしばらく火花が散る。この広い世界でちっぽけな争いを繰り広げる2人に、は少し笑った。

 

「でも、こんなたくさんの人の中から顔 も知らない人を探すなんて難しいんじゃないですか?第一なんでドルマゲスって人じゃなく てライラスさんなのかわからないし・・・」

はこれといってトロデ王たちのようにドルマゲスへの恨みはないが、とりあえず指示に従うことにした。

 

「アッシも、それは思ったでがすよ」

何気なく同意するヤンガス。2人の意見にトロデは目を丸くした。

 

「そうか!お前らにはまだ話しておらんかったな!!忘れとったわい」

「おっさん記憶やばいんじゃないでがすか?」

うるさいわ!!!そんなことないわアホウ!・・・ライラスを探すのはドルマゲ スに魔法を教えた師匠じゃと聞いたから、あやつの行き先も師匠ならわかるかもしれんと思ってな」

トロデはあごをさすり、うなずきながら話した。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、片っ端から人に聞こっか。大変だけどがんばろう!」

「「はーいっ!(でがす!) 」」

 

には何故かわからなかったが、今自分がゲームの世界にいるという違和感があまりなかった。自分が最初から住んでいたような気がして。

もちろんゲームプレイ前にこの世界へ飛ばされたのだから、街のどこに何があるかなんて全く知らない。キャラクターの性格がどんなやつだとか、話の進み方とか、親しみはないはずなのに。だけど、仲間のみんなとも、もう何年も知り合いだったみたいな感じで。

 

どうしてなんだろう・・・。

 

 

 

 

ライラスを探そう!ということで、人が集まる場所へ行くことにした。人が集まるといえば酒場。町へ来る途中、日はすっかり傾いていたので人の数には期待できるだろう。大体酒場が始まるのは夜から、だからだ。ということで早速向かうことにした。

広場にトロデとミーティアを置いて・・・。

 

 

「そうだ、の防具とか、色々買わなきゃだね。さっきまで言ってたのにすっかり忘れてたよ」

「い、い、いいよ!そんなの!!」

「ダメでがすよ!これから旅するんなら最低限のものは必要でがすよ。もし魔物が襲ってきたらアッシらが助けるでがすが、もし遅れたらどうするんでがすか」

 

そう言うヤンガスの言葉に、はうんうんと頷く。もう後には引けない、と思っただった。

2人に無理やり連れてこられたのは、武器や防具などがたくさん並ぶ場所だった。そこには旅に役立つのか?!むしろジャマだろーが!という服やアクセサリーが数え切れないほど置いてあった。

 

「ここで色々買いなよ」

「でっでもっ・・・」

「いいから!はい」

ポン、と手の平に載せられたのは、キラキラ光る金貨1枚だった。

「足りなかったら言って?」

そう言っての背中をドン!と、店の方へ押した。

 

 

「いらっしゃいませ!何をお探しですか?」

にっこりと髪の長い美人な店員は、に問いかける。


「(くっそ〜っめ!)えっと〜・・・旅に出るんです。だから動きやすそうなので、守備力も高いのお願いします」

「かしこまりました」


はお金をもらっておきながら普通に買い物している・・・。さっきまでは戸惑っていたというのに。切り替えの早い女である。

 

 

 

「動きやすい服ですよね。でしたら、だいたいこちらの方にありますよ!」

そう言ってお店の人が紹介した所は、確かに動きやすそうでかわいい女性服がたくさん並んでいた。

 

その中でもの目を引いたものがあった。2点セットで、白い胸下くらいまでの半袖カーディガンに、裾へいけばいくほど色が濃くなる水色グラデ−ションのワンピース。スカートの丈は膝上くらいまでだった。

 

 

かわいいな、と思った瞬間、

「その商品をお求めですか?」

と、さっきの店員が聞いてきた。ずっと見ていたもんだから、欲しいことに気づいたのだろう。

 

「えとっ・・・その・・・」

「お客さまにとってもお似合いですよ!買われますよね?ささ、どうぞレジへ!」

半分強制的だ。

だが、客引きのお似合いですよの言葉も商売だとはわかっているが、何となくそう思えてくる。これがワナだとわかっていても。

 

はその服を買うことにした。

 

 

はお金の単位がわからず、さりげなくさっきにもらった金貨1枚を出してみた。店員は一瞬びっくりした顔をしたので、足りないのかと思ったが、全然足りた。金の大きさにびっくりしたんだろう・・・。

 

とりあえず買った服を着させてもらい、たちの前に出向いた。

 

 

 

「防具、買えたみたいだね!すごい似合ってるよ!」

笑顔ではそう言ってくれる。その横でヤンガスもそうでがすねーとか言っている。段々と嬉しくなってきて、はふふ、と笑顔を見せる。

 

「兄貴、の武器は買わないんでがすか?」

「武器?・・・あ、そっか・・・。そうだね。武器屋さんに行ってみよっか」

ということで、たちは武器屋に行った。トラペッタは町全体が2階立てになっており、その2階に武器屋があった。

武器屋の人の鑑定(?)では、が扱える武器は、剣、杖、サイだとわかった。サイというのは、簡単に言えばフォークのようなもの。

は剣だから、はサイにしてみた。自分だけが扱っている武器というのが何だか格好いい気がして、は少し嬉しくなった。

一応魔法も扱えるようにと、杖も買った。

 

 

 

 

3人は本来の目的を忘れて、武器や防具の買い物に没頭していた。

 

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あとがき
ヒロインちゃん、やっとこさ(誰)仲間!って感じしてきたとです。
次はユリマちゃんがでてくるとこまで頑張りたいなあ。

それでは次の小説でまた会いましょう(・∀・)

2008.05.22  UP
2008.05.23    加筆
2009.05.17  書き換え