「今日もいい天気ねー」
「あぁ…ふああぁぁぁぁ……」
「やだソロってば…おっきいあくび!」
俺の隣でふふふと笑うシンシアに、俺は照れ笑いをした。彼女とはいつも、花咲く丘にいる。ここが俺の安らげる場所。大好きな場所。
「ねぇソロ。空って不思議よね」
「え?」
「だって、この世界のどこまでも続いてるんだから」
「………」
俺には、彼女の言う言葉は規模が大きすぎて、よくわからなかった。
でも確かなのは、シンシアの中には俺の知らない世界が存在しているってことだ。
「世界…か」
俺の心の中には、シンシア以外いなかった。それ以外は受け付けなかった。はね除けてきた。
シンシアの笑顔を毎日見れるだけで、それが俺の中での最高の幸せだった訳だから。
シンシアのいる毎日がすべてだったから。
「俺には…」
「ん?」
「俺の世界は、まだ狭いからわかんねぇ」
「…そっか」
シンシアは深く問いもせず、再び空を見上げた。
少し伸びたピンクの前髪を掻き揚げて。
それが彼女なりの優しさだという事は、俺が一番知っている。
そして俺はこれからも、この心の世界の範囲を広げるつもりはこれっぽっちもなかった。
僕の世界には君しかいなかった
もうすぐそれが、打ち壊されてしまうということさえも知らずに
勇シンは儚さ過ぎて悲しくなります・・・。