WEB拍手お礼小説6 2009.06.26〜2009.11.06

 



「なぁ、エイトぉ。知ってるか?」

「何を?」

 

船に乗っていると、海を見つめていたエイトにククールが話しかけている声が聞こえてきた。

何の話なのか気になった私は、少し耳を傾けてみると…。

思わずずっこけてしまいそうな内容だった。

 

「世の中にはさぁ。主ククってのがあるらしいぜー?」

「何それ。どこぞの主さんがククールとラブラブなの?」

「いやそれ『あるじ』って読まねぇから。・・・そりゃ・・・主っていったら・・・」

 

ククールは少し顔を赤らめる。キメェ。

しかしだめだ。

このままではエイトが変な方向の話を聞かされるハメになる!!

 

「主っつったら、お前、そりゃ・・・エイトしかいねぇじゃん」

「・・・は?」

 

エイトは目をまん丸にしてククールを見ている。

 

「ま、世の中にはお前と俺がイチャイチャしてんのに萌えてくださる方がいるってわけだよ」

「いやそれ、僕にとっちゃ超外道ー」

 

エイトが冷ややかな目をククールに向け、冷静に突っ込んだ。

 

「だいたいそれじゃあ僕らホモになっちゃうじゃないか。そんなのやだよ」

「じゃあ誰がいいんだ?ヤンガスか?トロデ王か?」

「うん一回男から離れてくれないかな」

 

エイトは笑っていたが、怖かった。

 

「じゃあ誰がいいんだよー」

「・・・当たり前だけど、ちゃんとした女の子がいいよ」

「ふーん・・・じゃあ例えばどんな子が好みなんだ?」

 

おいおいおい主ククの話はどうしたぁ!?

いやそれでいいんだけども、ちょっと話の論点がズレてきている。

でもエイトの好きな好みの女の子…それは興味がある。

罪悪感は少しあったけれど、そのまま私は立ち聞きしていた。

 

「うーん・・・ちょっとドジで・・・天然で・・・可愛くて・・・」

 

頬を少し紅潮させたエイトは俯いた。

 

「・・・お前それ、間近にいすぎる奴のことじゃねぇか」

「べ、別にいいだろ!好きなんだから!!」

 

すっかりご立腹の様子のエイトはククールに背を向けてドシドシと歩き出した。

気づけば、私の前まで歩いてきていた。

 

「うわぁ!!・・・あ、、あ、あ、あ・・・」

 

エイトは私の顔を見た瞬間顔を赤くして震えだした。

 

「え・・・大丈夫・・・?」

「うわああああぁぁ!!!」

 

逃げるようにして船長室に隠れてしまったエイトの後を見ながら私は首を傾げた。

 

「・・・やっぱお前、天然だな・・・」

「・・・????」

 

私にはなんのことか・・・さっぱりだった。

 






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