ガールズトーク
「ねぇ。ここのお風呂って大きいんだからさ、たまには一緒に入らない?」 「ぶふぉえっっ あっつ!!」 ゼシカの唐突な誘いに、は激しく飲んでいた紅茶を口からぶっ放した。
ここはある宿屋。お風呂の大きさは他の宿よりもまぁまぁ大きく、それを見たゼシカはそんな事を言い出した。旅をし始めてから、ゼシカはそういえば誰ともお風呂に入ったことがない。いや、リーザス村にいた頃も誰かと一緒に入るのは小さい頃だけだった。それからはずっと一人がほとんどだったけど、やっぱりその分同じ年頃の女の子とお風呂に入るのが夢だったゼシカにとって、今がいてくれてすごく嬉しいのだ。 「ねぇ、どう?」 「え〜っ・・・だってそんなの、ゼシカと色々違いすぎて恥ずかしくなる・・・!」 は顔を真っ赤にして俯いた。ゼシカは自分の荷物鞄から着替えを取ると、の前に座った。 「お願い!一緒の年の子とお風呂なんて入ったことないの!夢だったのよ!」 懇願する勢いで手を合わせ、お願いするゼシカ。…そこまで言われて断るほど、私も極悪じゃない・・・。
「・・・わかった。いいよ」 「本当!?やったぁ!」 たちまち笑顔になったゼシカが可愛い。しかしはまたすぐに後悔することになる。
「(うわわわわわわ・・・!もうどうすれば・・・!!)」 早速お風呂に入った二人。バスタオルを巻いているものの、やっぱり緊張してしまい目のやり場に困る。目の前でゆっくりとバスタブに浸かっているゼシカは、緊張など全くしていないようだった。
「ね、ねぇゼシカ・・・!」 「ん?なぁに?」 「な、何をどうしたらそんなに胸がおっきくなるんですか・・・!」 そんなの質問に、ゼシカは目を大きく見開いて驚いていた。そして数秒後、ゼシカは腹を抱えて笑った。
「あっははは!ったら、何言ってるのよ!胸の大きさとか、そんな事気にしてるの?」 「うぅっ・・・だって・・・」 は恥ずかしそうに顔を赤くした。そりゃ身近にナイスバディな子がいれば、きっと自分でなくても誰だって思うはずだ。ゼシカはまた少し笑うと、話し出した。
「私も小さい頃はね、胸のおっきいお母さんに憧れてたわよ」 「あぁ、アローザさんもボンッキュッボンッの持ち主だもんね・・・」 やっぱりそういうのって、遺伝なのかとは落胆した。自分の母親は、はっきり言って大きくはないのだ。
「12歳くらいからみんなに大きいねって言われ始めたわ。その時でCカップくらいだったかしら?」 「じゅ、12歳でC・・・!?」 今18歳の自分でさえ負けてるよ!世の中にはそういう子もいるんだとはショックを受けた。 「でもまぁ、大きすぎたって何の特にもならないわよ。肩凝るし、服似合わないしね」 「で、でもやっぱり貧乳より巨乳のほうが男の人って嬉しいんじゃないの・・・かな?」 ゼシカにそう呟いて湯の中に顔を半分潜らせ、口でお湯をブクブクとさせる。ゼシカは少し微笑んだ。
「どうせ、に振り向いてもらいたいって訳でしょ?」 「ち、違・・・っ」 まるでオセアーノンかのように体すべてを真っ赤にさせたは、潜らせていた顔を勢いよく出して、首を横に振った。
「ふ〜ん?じゃあモテたいの?」 「そ、そういう訳でも・・・」 恥ずかしくなって、手で顔を覆った。ゼシカはその手をつかんで無理矢理外させた。
「だーかーらー、にモテたいんでしょ、は?」
しばらくしては、小さく頷いた。ゼシカはそれを見てクスリと笑う。
「大丈夫よ、は巨乳好きじゃぁ ないと思うわよ」 「な、何で・・・?」 うーん、とゼシカは悩んだ。 「そうねぇ・・・。は、一人の女性を愛してるから、かな?」 「え・・・?」 は、それが誰のことかはわからなかった。 「まだは知らなくていいわよ。・・・そのうちわかるわ、きっと」 ゼシカはバスタブから上がると、風呂を出ようとした。
「今日はありがとね。また一緒に入りましょ!」 そう言ってにっこりと笑顔で言ったゼシカは、風呂のドアを閉めた。
「・・・ふふふっ」 ゼシカとお風呂に入ってよかったなぁ。男の人(ククールとかククールとかククールとか)にはできないもんね。
「・・・今度はゼシカの話聞いてあげよ」 は一人、もう一度ゼシカとお風呂に入ろうと決心した。いつの間にか、恥ずかしさは何処かに飛んでいた。 あとがき 1回でいいからガールズトーク的なのを描きたかっただけなんです。(爆) 2009.10.07 UP |